スミスの図解天文学(3)2006年02月07日 06時41分16秒

太陽についての章より。

左上の図に注目。「太陽の断面図」です。

宇宙物理学誕生以前、天体の構造がどう理解されていたかを端的に示しています。当時の天文学者は、黒点の存在から、太陽の構造を以下のように推測していました。

「既知の事実に照らせば、以下の説がもっとも合理的であろう。太陽本体は不透明であり、それを透明な気体が取り巻き、その気体中には輝く雲が2層に分かれて浮かんでいる。下層の雲はより濃密で不透明であり、上層の雲はより強く輝いている。さらにその上には透明な気体が非常な高さにまで存在している。太陽が生み出す莫大な光と熱の源については不明である。類似の現象を示すものとしては電気のみが知られているに過ぎない。」

その輝く雲の「破れ目」から、その下にある太陽本体が見えているのが太陽黒点の正体だ!と考えられたのです。

「上層の雲から出る熱は、下層の雲によって遮られるので、太陽の表面は生物が住めるはずだと唱える者もいるが、これには反対意見もある。…仮に生命がいたにしても、厚い覆いに閉じ込められた彼らは、惑星や恒星の知識も持たず、広大無辺の宇宙に存在する無限の驚異とは無縁であろう。」

今思えば一種の奇説ですが、当時の知識に照らせばこれこそが合理的な結論だったわけです。さて、現代のわれわれの宇宙理解には将来どんな評価が下るのでしょうか?

同書の図版はほとんど白黒ですが、ときどきこのような彩色図版が入っています。