J・G・ウッド著 『一般的な英国の甲虫類』(2) ― 2006年04月06日 06時17分36秒
こういう本はつい挿絵に目が行きますが、本文の方もなかなかおもしろそうです(パラパラ見ただけなので偉そうなことは言えませんが)。
ぱっと見た感じ、記述がいかにも文学的というか、ギルバート・ホワイトの『セルボーンの博物誌』(1789)の伝統を受け継ぐような、博物誌的な記載が目につきます。以下はハネカクシの一種を記述した段落。
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図版4の第4図には、よく知られた-ただし嫌われ者としてだが-昆虫が描かれている。専門的にはオキプス・オレンスと呼ばれるが、一般には「悪魔の馬車馬 Devil's Coach-horse」という名で知られる。
これはごくありふれた種類で、屋内屋外を問わず、どんなところでも見つかる。そして常に恐怖と嫌悪の情を催させる(もっとも昆虫学者だけは例外だ)。
この虫の外見は決して心地よいものではない。体色はにぶい黒色をしており、ひとたび怒れば、どんな相手に対しても、頭をぐっと持ち上げ、鎌状の大あごを精一杯広げて、いやな臭いのする尻尾を、まるでサソリのように反り返らせる。すべての動きが獰猛な威嚇のそれである。その態度はまったくその性質を裏切らない。こいつは昆虫の中でも、もっとも勇敢で獰猛な種類のひとつで、相手の大きさなどお構い無しに、あらゆる敵に立ち向かって行く。
…(以下、さらに叙述がつづく)
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そういえば、著者ウッドも「Reverend (~師)」の肩書きを持つ聖職者で、地方の有閑牧師という役柄の点でも、1世紀前のホワイトをしのばせます。
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