フープ博士の月への旅2006年04月16日 07時41分06秒

「このブログについて」の欄に出てくる「フープ博士」を、ここでちょっとご紹介しておきます。

博士は、イラストレーター・絵本作家である、たむらしげる氏の作品に出てくるふしぎな科学者。
豊かなひげをたくわえ、常にシルクハットにモーニング。科学界の奇人にして独創的な発明家、そして夢見る旅人。

たむら氏の作品は、ミントブルーやミントグリーンの色使いがきれいで、ミントの清涼感漂う中で展開する、ときに形而上的なドラマには、稲垣足穂の影響が色濃く認められます。当然のことながら、天文趣味や鉱石趣味がモチーフとなった作品も多数あります。

掲出したのは、フープ博士を主人公にした(たぶん)最初の漫画。
マイナー系の王道を行った雑誌「ガロ」に1978年に掲載されたものです。
手品師タウンゼント、珍犬トッキー、船長カトウらを率いて、いかだに乗って月に行くという奇抜な冒険物語。

我が家にあるのは初期の、通称「青版」(初版1980年、青林堂)。
その後、表紙の色の違う「赤版」「黄版」というのも出たそうですが、そちらは見ていないので、内容の異同は不明です。
(ひょっとして初期の精神病院の描写が問題になった?)

コメント

_ shigeyuki ― 2006年05月19日 19時31分25秒

この本、僕も持ってます。
1985年の再版ですが、やはり青表紙です。
たむらしげるさんの本は、「水晶狩り」と「スモールプラネット」も持っていたのですが、手放してしまって、今はこの「フープ博士」しかありません。
青林堂からは、イタガキノブオという方の「ネガティブ」と「ペーパーシアター」という本も出ていました。それはまだ手元にありますが、あれもちょっと稲垣足穂的でした。

_ 玉青 ― 2006年05月20日 16時07分14秒

我が家の「水晶狩り」と「スモールプラネット」は幸い散逸を免れ、いまだ手元にあります。

今、書棚から取り出して再読すると、特に前者に収録された作品群は、現在の自分の基本的な「気分」に少なからぬ影響(通奏低音のような)を及ぼしている気がします。

死の匂いの濃厚な「夢の岸辺」、川をどこまでも遡ると水の底にもう一つの海が現れ、さらに進むと天の川に至るという、不思議な空間イメージが秀逸な「銀河の魚」などなど。

イタガキノブオさんの作品は残念ながら未見です。

_ 蛍以下 ― 2013年06月15日 16時14分59秒

ああ、たしかこの記事で私は天文古玩を知ったのでした。
(知ったのは書かれた当時でなく、最近のことです。)
私が持ってるフープ博士は赤版(1991年の4版)ですが、精神病院の描写(現在であれば自粛するであろう程度の表現)は、あります。

スモールプラネットの「青いビー玉」に触発されて、久しぶりにビー玉を手にとってみました。
中を覗くと倒立像だというのに初めて気付きました(忘れていただけかもしれませんが)。意外とコレ知らない人は多いんじゃないかと思いました。 光学上の常識なんでしょうけど、なにせ私は「学研の科学」と「昆虫採集セット」どまりの文系人間なもので。

追記
このことはS.U氏もコメントされてましたね。http://mononoke.asablo.jp/blog/2009/10/09/4623490

_ 玉青 ― 2013年06月15日 17時43分58秒

お、これは懐かしい記事にコメントをいただきましたね。
実は私もどうしても気になって、その後赤版を入手したのですが、内容は特に変わりなくて一寸肩すかしでした。(笑)

人間はビー玉1つからでも、いろいろ思索や感動を紡ぐことができますね。
私も蛍以下さんに触発されて、今ちょっと庭に出て、葉末の雨滴を通してさかさまの世界を眺めてみました。空は暗くても、水滴の中の世界はきらきら輝いていました。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック