アンティーク望遠鏡(1)…復刻品のはなし ― 2006年04月24日 05時57分29秒
アンティークの天体望遠鏡は高価な上に、なかなか出物が少ないです。
eBayで探しても、アンティーク顕微鏡はいくらでも見つかるのに、アンティークの天体望遠鏡は本当に希少です。いわゆる遠眼鏡(spyglass)、つまり伸縮式の地上望遠鏡を除くと、顕微鏡20~30に対して望遠鏡1ぐらいの比率じゃないでしょうか。
こんなところにも、19世紀の博物趣味と天文趣味の力関係がうかがえます。
代わって常時大量に売りに出ているのが、現代のリプロダクションで、ほとんどがインド製です(ブラス工芸の伝統があるからでしょう)。
リプロ物は、いくつかの特徴があるので、遠目にも一目で分かります。例えば、写真は業者自身「リプロ」と明記している品ですが、下のような特徴は本来のアンティーク望遠鏡にはないものです。
1)ドローチューブ(のように見える)部分の真ん中が妙に膨らんでいる。合焦ノブの代わりに、この部分を回してピントを合わせる機構になっている。
2)三脚の上端が金属キャップで補強されている(昔のものに絶無というわけではないが少ない。インド生まれは、ほぼ100%この形式)。
3)対物レンズのフードがチェーンで鏡筒からぶら下がっている。
4)写真には写っていないが、接眼部を見ると、同心円状の線刻模様が一種の装飾になっている。
以上のような特徴が1つでもあれば、リプロを疑えます。
なお、写真のものはピカピカ光っていますが、化学薬品で古色は簡単につくので、見た目の古さは全く当てになりません。
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