理科趣味とは何ぞや2006年04月29日 21時39分23秒

このブログで「理科趣味」という語を気軽に使っていますが、ふとそんな言葉が日本語の語彙としてあるのか気になって(広辞苑にはありませんでした)、用例をGoogleで検索したら、こんな本が見つかりました。

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崎山惣太郎・編著 『学習参考課外読本 六年理科趣味の友』 第5版(昭和7年、駸々堂書店)

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著者の崎山氏は奈良県の小学校の先生。序文は勤務先の校長先生が書いています。大正14年付けの序文を持つこの本は、まだ日本が戦争一色に染まる前ののどかな時代の産物で、理科学習を取り巻く戦前の空気がよく伝わります。

さて、では当時の「理科趣味」とは何を指すのか?その<序文>および<はしがき>を読むと、

「深遠な科学的研究者の態度を失わぬ趣味多き著作…氏は理科に深き趣味を有し…」
「これによって児童は興味の中により深い理科の智識を収得し、研究的態度〔を〕養成せられ…これによって家庭に於ける理科趣味の読物とせられて…」

とあります。つまり、自然界の万物に対する「研究的態度」こそが理科趣味の眼目だということです。

いっぽうこのブログで唱えている「理科趣味」は、玩物懐旧によって日常の憂さを忘れようという、あくまでも慰みごとの範疇の営みなので、本来の「理科趣味」とはちょっと違う私的な意味合いで使っていることを予めお断りしておきたいと思います。

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