アンティーク望遠鏡(8) ― 2006年05月07日 07時56分00秒
さて、経緯儀式のラインナップを一通り見たので、次は赤道儀式機材の紹介ですが、その前に一服。
昨日たまたま東亜天文学会の会誌「天界」の古い号を見る機会があり、そこによく似た望遠鏡の広告が載っていました。掲載年は1926(大正15)年、これまで取り上げてきた Steward 社のカタログ(1923)とほぼ同時期のものです。
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スタンダード3吋〔インチ〕天体望遠鏡
天界の神秘
宇宙建築の機密は
吾人の探求を待つて居ります
いざ 天界旅行に登りませう
万有の生気に触るるために
オットウェイの望遠鏡を持つて
土星の環 木星の衛星 見えます
地上遠望レンズ及サングラス各一個附属す
概算定価 約三百円 学校用には輸入税免除の手続を致します
Ottway's 3-inch Standard Astronomical Telescope
英国オットウェイ会社特製
日本代表 近江セールズ株式会社 近江八幡町
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広告コピーが実に微笑ましいのですが、ここで何といっても注目すべきは300円というお値段でしょう。小学校の先生の初任給が50円の時代ですから、ざっとその半年分、今なら優に100万円以上の品ということになります。
先日、「『学習用』天体望遠鏡」というのをこの欄で紹介しましたが、当時は「学習用」といえど、気楽に親にねだって買ってもらえるような品ではなかったことは確かです。
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