天文家の自筆書簡…ジェイムズ・サウス(1)2006年05月28日 07時38分01秒


世俗や人事を離れて天界に惹かれたはずなのに、いつのまにか人間臭いものに戻ってしまうというのは、我ながらおかしいのですが、しかし「俗の中の聖」ともいうべき、天界に激しくあこがれる人間の心は、それ自身興味深いものです。

古き時代の天文家の体温を直接伝えるのが、自筆書簡類です。

こうした書簡を机においてその前に座るとき、100年以上も前の、書物の中でしか知らない人物が、まさにこの紙片を前に同じ姿勢でペンを走らせていたのだな…と思うと、実に不思議な感じがします。彼らは書物の中の存在ではなく、私と同じくやはり生きて呼吸していたのだ、という当たり前のことが強烈なリアリティで迫ってきます。

海外にはこうした肉筆物に力を入れている古書店も多く、古書検索サイトに当たれば簡単に商品を探すことができます。

写真は、ジェイムズ・サウス卿(South, Sir James 1785~1867)の1852年付けの書簡。(内容については次回ご紹介)

※注…この項は「日本ハーシェル協会ニューズレターNo.134」への投稿記事に加筆修整したものです。