『パロマーの巨人望遠鏡』2006年06月08日 06時18分12秒


D・O・ウッドベリー著、関正雄他訳 『パロマーの巨人望遠鏡』(上下)
岩波文庫 

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ヤーキス天文台、ウィルソン山天文台、そしてパロマー山天文台…。あくまで大口径を追求したヘール博士の執念と、その周辺の人間ドラマを描いた名著です。

次々に降りかかる技術的難問、ときには不屈の精神が、ときには第三者のひらめきが、それらを一つ一つ解決して行くさまは圧巻。日々の些事に困却しているときなどに読むと、大いに勇気づけられます。

パロマーの最終的な完成は、戦争をはさんで1948年までずれ込みましたが、ウッドベリーの原著は1939年に出ています。ヘール博士も1938年には死去しており、パロマー・ストーリーは基本的には戦前の物語。考えてみれば凄い話です。