天体写真の衝撃(1)2006年06月10日 04時58分09秒

写真は、昨日も登場したジョージ・リッチーが撮影した三角座M33。ヤーキス天文台の2フィート反射望遠鏡を使い、4時間の露出をかけて撮ったもの(1902年撮影)。

★G.W,Ritchy: Astronomical Photography with the Forty-inch Refractor
  and the Two-foot Reflector of the Yerkes Observatory(1903) より。


さて、以前も引用した箇所ですが、再度『銀河鉄道の夜』より。

☆   ★   ☆   ★

一、午后の授業

「このぼんやりと白い銀河を大きないい望遠鏡で見ますと、もうたくさんの小さな星に見えるのです。ジョバンニさんそうでしょう。」

ジョバンニはまっ赤になってうなずきました。けれどもいつかジョバンニの眼のなかには涙がいっぱいになりました。

そうだ僕は知っていたのだ、勿論カムパネルラも知っている、それはいつかカムパネルラのお父さんの博士のうちでカムパネルラといっしょに読んだ雑誌のなかにあったのだ。それどこでなくカムパネルラは、その雑誌を読むと、すぐお父さんの書斎から巨きな本をもってきて、ぎんがというところをひろげ、まっ黒な頁いっぱいに白い点々のある美しい写真を二人でいつまでも見たのでした。

☆   ★   ☆   ★

この作品は、時代も国ももちろん無限定なわけですが、天体写真が登場するあたり、19世紀の末~20世紀の初めが舞台らしく思えます。

天体写真が当時の人々に及ぼしたものは何か、それを少し考えてみたいと思います。

(この項つづく)

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