天体写真の衝撃(2)2006年06月11日 09時18分23秒

プレアデス(出典は昨日に同じ。1901年撮影)

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(昨日のつづき)

科学史の側面からいえば、天体写真の登場はまずもって観測手段の進歩という意味を持ちますが、天文趣味にあたえた影響からすると、それによって「宇宙」という語に確固たるイメージが与えられた、ということのほうがずっと大きな意味を持つのではないでしょうか。

考えてみると、どんなにリアルに見えても、それらはバーチャルな映像以外の何物でもないわけですが、今や「宇宙」と聞けば、脳裏に浮かぶのは「暗黒に浮かぶ光る渦巻き」であり、「真っ赤にうねる星雲のフィラメント」であり、「青白いガスをまとった散開星団」であり、それこそが「宇宙」なわけです。

それ以前は、「宇宙」と聞いても、せいぜい天球儀のイメージが浮かぶぐらいで、何となく捉えどころのない存在だったと、これは想像ですが、どうもそんな気がします。
 
人間とは我儘なもので、そういう新たなイメージの氾濫にも飽いてくると、「やっぱり昔の本は味があるね…」などと復古趣味に走る物好き(=私)が出たりするわけですが、公平に見て、リアルタイムで天体写真術の登場を体験した人々の衝撃は、やっぱり大変なものだったろうと思います。

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