スパイグラス(1)2006年09月04日 23時54分55秒


以前、手軽な光学アンティークとしてオペラグラスを取り上げましたが(http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/04/25/340842)、スパイグラスもオペラグラス同様、時代のわりに値段の付かないアイテムです。

これは、最近のリプロダクションだけでなく、本物のアンティークも同様で、eBayでも捨て値に近い価格しか付かないのが実態だと思います。

その原因の一つとして、スパイグラスの時代鑑定はきわめて困難だという事実があります。

スパイグラスは、1800年代から1900年代まで全くその外形に変化がなく、メーカー名の刻印がないかぎり、いかなる熟練の鑑定士でも外見的特徴だけからその素性を判別することはできないと言われています。また、頼みのメーカー名にしろ、後から偽って彫りこむことが容易であり、また商策として頻繁に行われたために、事態はいっそう複雑化しています。

それでも、光学的完成度やオーセンティシティを度外視して、単に古い時代の息吹を感じようという目的であれば、簡単に手に入るアイテムであり、理科趣味の古玩好きにとっては狙い目かもしれません。

(ヤフオクだと、海外の相場ならせいぜい数千円の品にウン万円もつけている古物業者を見かけたりして、ムムッと思うこともあります。)

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上は、eBayで見かけた写真を勝手に使わせてもらいました(ごめんなさい)。1858の年記が入っているものの、いかにもフェイクくさい品。