スパイグラス(2)2006年09月05日 21時15分46秒


以前購入したスパイグラスです。鏡筒は木製で、伸縮部は真鍮製。細部の意匠から19世紀に遡る品と見て間違いないと思いますが、メーカー名が曲者。

伸縮部には“Dolland London”と刻字してあります。よくよく見ると、"Dollond" ではなく、"Dolland"。すなわちドロンド製品のまがい物で、こうした品は既にドロンドの同時代から横行していたようです。(ドロンド社については、こちらを参照してください。http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/04/27/343817

「アディドス」やら「チャンネル」やらのパチモンは、古今東西を通じて普遍的な存在であったことを知って、思わず苦笑い…といったところ。

さて、そんなわけでモノのほうは怪しげなんですが、この品は三脚付きというのがポイントです。

三脚は二本接ぎになっていて、継ぎ足すと写真の2倍の長さになります。三脚自体は測量器用の転用で、望遠鏡用アタッチメントは手製。たぶん以前の所有者の手わざでしょう。とても手間がかかっています。

三脚には、"SIMENS BROTHERS & Co Ltd LONDON 1915 No.364" と刻字されており、望遠鏡より時代は下がるものの、こちらもなかなかの年代物。

オークションでは、この手の三脚だけでも結構な値段で売買されているので、まあ三脚込みならばお買い得だったかな…と自らを納得させています。

あばたもえくぼ。こうして写真で見ると、風雪に耐えた重みもそこはかとなく感じられます。