ウィーン大学天文台 ― 2006年10月07日 08時50分32秒
1898年の消印のある古絵葉書。
現在も使われている、この堂々たる建築は、1874年に建てられました。
絵葉書では分かりにくいのですが、公式サイト(http://www.astro.univie.ac.at/)の表紙を見れば分かるとおり、ラテン十字型の平面プランで建てられています。明らかに教会建築の意匠を取り入れた作品。「天上の神を拝する聖なる場所」、というわけでしょうか。
絵葉書は西北方向から撮った写真で、左から北ドーム、東ドーム、中央大ドーム、西ドームが写っています(正面玄関は南側なので、ここには写っていません)。
設計者はフェルディナンド・フェルナーとヘルマン・ヘルマーで、当時はむしろ劇場建築家として有名な人物だったそうです。
19世紀のオリジナルの状態では、中央の大ドームには、当時世界最大を誇ったグラブ製27インチ屈折が、東ドームにはクラーク製12インチが、西ドームにはフラウンホーファー製6インチが、北ドームには彗星探索用望遠鏡が設置され、さらに中央ドームと他のドームを結ぶ回廊部には、各種の子午線観測機材が置かれていました。非常にぜいたくな構成です。
デザインといい、機材といい、フランツ・ヨーゼフ1世治下のオーストリア=ハンガリー帝国の威信を示すに足る大天文台です。
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