望遠鏡の誘惑2006年12月10日 21時00分19秒

★『ぼくはいつも星空を眺めていた― 裏庭の天体観測所』
 チャールズ・レアード・カリア (著), 北澤 和彦 (翻訳)
 ソフトバンククリエイティブ刊

* * * * *

小雪の舞う仙台から帰ってきました。

写真は往復の新幹線の中で読んだ本。今年の2月に購入したまま放ってあったのを、この機会にと思って持参したのですが、もう貪るように一気に読みました。

とてつもなく毒気を放つ本ですね。要は元・天文少年の天文熱復活の体験談なのですが、身に覚えのある人には堪らない内容でしょう。1976年の時点で天文知識がフリーズしていた中年男性が、21世紀の今天文に目覚めるとどういう事態が生じるのか。痛切なまでにリアルな描写です。

結局、著者はスライディング・ルーフ付きの観測小屋を裏庭に建てることを決意し、1年がかりで実現するのですが、その苦労を縦糸に、少年時代の思い出(特に占星術を業としていた、神秘主義的な母親の思い出)や、最新の天文事情などを織り交ぜて、しみじみ楽しい読み物となっています。

私も数年前にそういう「回心」を経験し、結局自分の性格(根気が無い)ではリアルな天文趣味は無理…と見切りをつけて、イメージの世界に遊ぶ方向、すなわちクラシカルな天文趣味に耽溺する方向に転じて現在にいたっているわけですが、しかし、この本を読んでまたぞろ「虫」が動くのを感じました。

で、今日は性懲りも無く地人書館の『2007年版望遠鏡・双眼鏡カタログ』などを買い込んで、いろいろ妄想にふけっています。非常に危険な徴候です。しかも悪いことに、最新の「天文ガイド」誌の特集が「ベランダ天文台」だったりして、私の心を揺さぶるのです。