かわいいレンズセット…その2 ― 2006年12月20日 20時06分17秒

(昨日の続き)
箱を開けると、茶色く変色した説明書に包まれて、凸レンズ2枚、凹レンズ1枚、鏡2枚、すりガラス1枚が出てきます。
これらを組み合わせると、「天体望遠鏡」「地上望遠鏡」「反射望遠鏡」「幻燈機」「写真機」が作れるという触れ込みですが、説明書を読むと「反射望遠鏡」というのは、いわゆる潜望鏡のことですし、「写真機」というのも、外の景色をすりガラスに投影するだけのものと分かります。
サイズ表記もめちゃくちゃで、例えば鏡は「5cm×20cm」と表記されていますが、実際には3cm×4.5cmしかありません。
商品としてはいかにも怪しげですが、しかし、私はこういうチープな品が妙に好きです。
当時、大きな夢を抱いて、この商品を握り締めた少年がいたのではないでしょうか。それを思うにつけても、涙ぐましい程のいじらしさ、健気さを感じてしまいます。そこには間違いなく自己憐憫の要素もあると思いますが…。
解説は、粗略な図と、下のような至極簡単な説明文(かなりいい加減)から成ります。
■天体望遠鏡■
1号レンズと2号レンズにて図面の如き天体望遠鏡を作りませう 筒の長さは30cm位(二枚の凸レンズの焦点距離の和)にするのがよろしい 図面の如く目に近い方のレンズを接眼レンズと云ひ 1号レンズを用ひます 又物体に近い方のレンズを対物レンズと云ひ 2号レンズを使ひます 出来上がった望遠鏡は物が反対に見えますから 月や星を見るのに用ひます それで天体望遠鏡と云ひます
箱を開けると、茶色く変色した説明書に包まれて、凸レンズ2枚、凹レンズ1枚、鏡2枚、すりガラス1枚が出てきます。
これらを組み合わせると、「天体望遠鏡」「地上望遠鏡」「反射望遠鏡」「幻燈機」「写真機」が作れるという触れ込みですが、説明書を読むと「反射望遠鏡」というのは、いわゆる潜望鏡のことですし、「写真機」というのも、外の景色をすりガラスに投影するだけのものと分かります。
サイズ表記もめちゃくちゃで、例えば鏡は「5cm×20cm」と表記されていますが、実際には3cm×4.5cmしかありません。
商品としてはいかにも怪しげですが、しかし、私はこういうチープな品が妙に好きです。
当時、大きな夢を抱いて、この商品を握り締めた少年がいたのではないでしょうか。それを思うにつけても、涙ぐましい程のいじらしさ、健気さを感じてしまいます。そこには間違いなく自己憐憫の要素もあると思いますが…。
解説は、粗略な図と、下のような至極簡単な説明文(かなりいい加減)から成ります。
■天体望遠鏡■
1号レンズと2号レンズにて図面の如き天体望遠鏡を作りませう 筒の長さは30cm位(二枚の凸レンズの焦点距離の和)にするのがよろしい 図面の如く目に近い方のレンズを接眼レンズと云ひ 1号レンズを用ひます 又物体に近い方のレンズを対物レンズと云ひ 2号レンズを使ひます 出来上がった望遠鏡は物が反対に見えますから 月や星を見るのに用ひます それで天体望遠鏡と云ひます
コメント
_ T.Fujimoto ― 2006年12月21日 00時02分40秒
_ 玉青 ― 2006年12月21日 16時14分59秒
Fujimotoさま
書き込みありがとうございます。
仰るとおり、ちょっと古びた味わいのある品なんですが、解説書はかなり痛んでいて、遠からず崩壊しそうな気配もあります。戦後の粗悪な酸性紙なのでやむをえませんが…。そうなると、この画像のみが唯一の形見になるかもしれません。
パルプの劣化が今あちこちで問題になっていますが、こんなところにも余波が及んでいるわけです。
書き込みありがとうございます。
仰るとおり、ちょっと古びた味わいのある品なんですが、解説書はかなり痛んでいて、遠からず崩壊しそうな気配もあります。戦後の粗悪な酸性紙なのでやむをえませんが…。そうなると、この画像のみが唯一の形見になるかもしれません。
パルプの劣化が今あちこちで問題になっていますが、こんなところにも余波が及んでいるわけです。
_ T.Fujimoto ― 2006年12月22日 01時37分09秒
こんばんは。なるほど、大事な画像になるかも知れませんね(笑)。
そういえば、荒俣宏さんの著作を読むと、アメリカのパルプマガシンを集め始めた頃の話が出てきて、「さらに驚いたことがあった。ページを繰るごとに紙が減っていくのだ!」とあったのには、さすがに瞠目してしまいましたが、そうなもんですね。
過去の記事もちょっとずつ読ませて頂きましたが、本当に素敵なブログです。
そういえば、荒俣宏さんの著作を読むと、アメリカのパルプマガシンを集め始めた頃の話が出てきて、「さらに驚いたことがあった。ページを繰るごとに紙が減っていくのだ!」とあったのには、さすがに瞠目してしまいましたが、そうなもんですね。
過去の記事もちょっとずつ読ませて頂きましたが、本当に素敵なブログです。
_ 玉青 ― 2006年12月22日 23時59分16秒
『紙の極楽』ですね!
荒俣氏のようなスケールは望むべくもありませんが、今後も地道に理科趣味の道を歩んでいくつもりです。お気軽にお立ち寄りいただき、コメント頂戴できれば幸いです。
荒俣氏のようなスケールは望むべくもありませんが、今後も地道に理科趣味の道を歩んでいくつもりです。お気軽にお立ち寄りいただき、コメント頂戴できれば幸いです。
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これは素敵な逸品ですね。パッケージも中身も、なんか、とてもいい味が出ているようで。