記念すべき昆虫標本 ― 2006年12月28日 22時44分13秒

■ Dicranocephalus wallichi (ワリックツノハナムグリ) ♂♀ペア、タイ産
何の変哲もない昆虫標本、しかも跗節(脚の先)が1本ありませんが、これは東京渋谷の「あの」志賀昆虫普及社で買ったもの…というのがポイントです。
志賀昆虫普及社。それは元・昆虫少年にとって、まさに聖地エルサレムにも匹敵する存在。
私が行ったのは大人になってから(世紀の替り目の頃)、しかも1度きりの経験ですが、だからこそ、その時の光景が鮮明に記憶に残っています。
「座売り」で営業している店ではないので当然ですが、想像以上にこぢんまりとした店構えで、しかもケースに並ぶ商品の数もごく控えめだったのが印象的でした。あるいは、その筋の人が厳かに昆虫のラテン名を告げると、奥の方から恭しく在庫が出てくる…そんなシステムなのかもしれません(←全くの想像です。奥本大三郎さんのエッセイに、フランスの標本商でのそんな情景が描かれていました。もっとも同社は標本よりも、採集標本用具の商いが本業なので、ちょっと勝手が違うかもしれませんね)。
21世紀の今日も、全くネット世界とは無縁の商売を続けているらしいのも、実に頼もしい感じがします。
というわけで、この標本は聖地巡拝の記念の品であり、ありがたい「お札」のような存在なのです。
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