ブログ開設1周年 + 本の宣伝2007年01月23日 20時59分13秒


今日は「天文古玩」の満1歳の誕生日です。

最初は話題がすぐ尽きるのでは、という不安もあったのですが、意外にそういうこともなく、コンコンと湧き出る…とまでは言いませんが、岩間からしみ出る苔の滴りのように、ポタリポタリという感じでここまで来ました。途中、皆さんからの温かいコメントにも大いに励まされました。本当にありがとうございました。今後もどうぞよろしくお願いします。

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さて、一周年ということで、今日はお手盛りのご祝儀記事として、ちょっと宣伝めいたことを書きます。去年の夏以降、「今、翻訳仕事に取り組んでおり、結果はいずれご紹介」と言いながら、紹介しそびれていたので、この機会にお披露目をします。

■『ビクトリア時代のアマチュア天文家 ― 19世紀の天文趣味と天文研究』 
  アラン・チャップマン著(角田玉青、日本ハーシェル協会共訳)
  産業図書、2006
  
この本は去年の11月に出版され、読売の書評欄でも好意的に取り上げていただいたのですが(http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20061218bk04.htm)、いかんせん内容がマイナーなせいか、売れ行きは今ひとつ。

しかし、訳文の質はさておき、内容はとても充実した本です。資料的価値も非常に大。このブログでも、何度かそれと明示せずに引用をさせてもらい、いわば種本の1つとなっています。

例えば、このブログの第1回で取り上げた、『真夜中の空』の著者、エドウィン・ダンキン。彼は普通の天文学人名辞典には出てきませんし、日本語の文献も従来皆無でした。この本には、彼のグリニッジにおける地位や、その社会的意味合い、それに彼が作家のトーマス・ハーディと文通していたエピソードなどが書かれています。同様に、当時の天文啓蒙書の著者なども、素性が杳として知れないことが多かったのですが、この本によって手がかりが得られることも度々でした。

このブログに関心を持たれる方であれば、この本もきっと興味深く読んでいただけると思います。お手元にぜひ1冊!