再びフラマリオンの 『一般天文学』 について(5)2007年02月26日 21時51分18秒

この本には、モノクロの挿絵以外に、リトグラフによるカラー図版が数葉含まれています。

写真は火星の地図。白は陸地、緑は海洋です。
ニュートン大洋、ドーズ海、ハイゲンス大陸、セッキの陸地 etc、地名には天文学の偉人たちの名前がずらりと並びます。先人の例も参考にしながら、中にはフラマリオン独自の名称も多数含まれているようです。もちろん、現行の呼称とは全く異なる体系。

ところで、ここに在ってもいいのに無いもの ― それは「運河」です。

火星の運河論争は、この本が出る少し前、1877年にイタリアのスキャパレリが「運河(水路)」を「発見」したことに始まります。

フラマリオンも本文中で ― ただし、参照したのは例によって英語版ですが―、「スキャパレリ氏の発見にかかる運河」によって構成された、「大陸一面に広がる一種の幾何学的なネットワーク」に一応は触れています。が、「本書はかかる特別な発見について詳しく語るべき場ではない」と、詳述を控えています。

彼の火星に対する思い入れは、この本よりも後に出た『火星(La Planete Mars et ses conditions d'habitabilite)』(第1巻・1882、第2巻・1909)という大作に結実しますが、彼はその後も終生、火星の生命と運河の存在を主張しつづけました。

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ところで、素朴な疑問。
仏独文のアクサン記号やウムラウトを簡単に打つにはどうすればいいのでしょうか?(上の書名もアクサン記号が落ちています。)