ファーブル昆虫記の旅(2)…パリ博物商めぐり2007年02月28日 22時08分01秒

ところで、ファーブルとは直接関係ありませんが、この本を読んでいて「博物学的パリ市内散歩」という一文に、「お!」と目がとまりました(103~109頁)。

「ホテルの中庭で今森さんと朝食を兼ねた昼食を摂り、パリでの博物学に関する取材の相談。といっても我々が行くところはパリの国立自然史博物館と植物園、標本商、それに古本屋ぐらいのものである。/まずバック街のデロール商会に行くことにする。」

…ということで、デロールについての記述が一くさり。で、それだけでは終わらず、他の店の様子も描かれているのが、とても興味深かったです。

「このデロールより前、1969年頃に私が訪ねた博物商の店にブベ商会というのがあった。場所はサン=ミッシェルの噴水の裏で、ショー・ウィンドーに、岩石標本を採集するためのハンマーや捕虫網が飾られていて、いい雰囲気であった。昆虫の標本は店内の標本箪笥に納められていて、店員に言わないと勝手に出しては見られないシステムになっていた。」

「デロールの次はサン=ジェルマン大通りのクロード・ナチュールに行く。…店内にはありとあらゆる生き物の標本が飾ってある。デロールの店とは蒐集品の時代が違うから、虎や白熊とはいかないけれど、狩猟の獲物や、交通事故に遭ったらしい小動物、蜘蛛、蠍、それこそ鳥獣から蛇蝎に至るまで揃っている。…頼めば何でも調達してくれそうで、現に店内には、中世の伝説の、一角獣の骨格標本まで飾ってある。カモシカの額に北極海のイッカクの角を生やしたものであろう。」

さらに、「昨日デロールの店で見たポスターで、ドゥルーオ・ホテルで虫のオークションが開かれることを知った。その下見の会が今日だというので見に行く。」とあって、その会場の様子を写したのが上の写真です。

   *    *    *

ああ、いいですねえ。こういう店を見聞きするたびに、以前(http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/10/19/566592)書いた「鉱石倶楽部」(by 長野まゆみ氏)を連想して、そこにさらに空想の尾ひれが付いて、ボンヤリ白昼夢にふけったりします。