アルヒェンホルト天文台…天空をにらむ巨人砲2007年06月18日 23時00分56秒


これはまたド迫力の、恐るべき望遠鏡。接眼部に小さく写っている2人の男性と比べてみてください。ベルリン製の古絵葉書です。

キャプションには、以下のような説明があります。

★ トレプトウ 天文台
 台長のF.S.アルヒェンホルト博士によれば、この巨大な望遠鏡は
 1896年の完成。望遠鏡の長さは21メートル、対物レンズの直径は65セ
 ンチ、金属製の可動部総重量は260,000ポンド〔118トン〕に達する。望遠
 鏡は4つの電気モーターで動き、接眼部の位置から操作が可能である。

この望遠鏡は、ベルリンのトレプトウ公園に現存します。創立者 Friedrich Simon Archenhold (1860-1939)の名をとって、アルヒェンホルト天文台が施設の正式名称。

この望遠鏡は、もともと1896年5月に開催された「ベルリン産業博覧会」への出品物として建造され、純然たる学術目的というよりは、最初から興行的な要素がありました(もちろん、それは博士の本意ではなく、建造費用捻出のための窮余の策でしたが)。

その流れを受けて、博覧会後も、この望遠鏡(および天文台)はベルリン市民に開放され、一種の教育・観光施設として現在まで運用されてきました。この大望遠鏡が、何か重要な天文学上の発見にかかわったという話をあまり聞かないのは、そのためでしょう。

いっぱんに世界最大の屈折望遠鏡といえば、アメリカのヤーキス天文台にある口径101センチ、長さ19.5メートルの望遠鏡を指しますが、鏡筒長で比べれば、トレプトウの方が長大であり、これは「自由に動かせる」屈折望遠鏡としては、史上最長です。(鏡筒が固定された望遠鏡ならば、46メートルという途方もない例―17世紀に作られたへヴェリウスの空気望遠鏡―があります。)

なお、公式サイト上のデータは、上のキャプションと若干異なり、レンズ径68センチ、可動部重量130トンとなっています。

■参考 http://www.astw.de/start.htm