アルヒェンホルト天文台(2) ― 2007年06月19日 23時12分47秒

(昨日の続き)
1908年、それまでの木製の仮小屋を撤去して、新しい建物―正式なアルヒェンホルト天文台―の建造が始まりました。
写真の絵葉書は1909年の消印があるので、完成間もない頃の姿でしょう。建物の前でポーズをとる、紳士・淑女それに幼児のフォーマルな服装に時代を感じます。
この望遠鏡はかつてドームに収められたことがありません。なんとなれば、直径50メートルのドームが必要になるので…というようなことが、同天文台のサイトに書かれていますが、けだしその通り。それにしても、奇異な眺めです。
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なお、同天文台の歴史を綴ったページには、重い事実が記されていて、暗然とします。すなわち、フリードリッヒの後を継いで台長となった、息子のギュンター・アルヒェンホルトは、1936年、ユダヤ人であることを理由に台長職を追われ、さらにその後イギリスへの移住を余儀なくされましたし、フリードリッヒの妻や娘は強制収容所に送られ、そこで亡くなったというのです。
その後、1996年の天文台創設100周年や、2004年のギュンター生誕100周年の際には、世界中に散らばるアルヒェンホルト家の後裔が招待され、盛大な祝賀行事が開かれたというのは一寸ホッとできるニュースで、一族の晴れやかな笑顔に救われる思いがしますが、皆の胸中にはきっと複雑な思いがあったことでしょう。
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