臨時休業中の臨時営業…昭和20年代の理科の授業 ― 2007年06月23日 08時41分53秒

ちょっと息抜きに記事を書きます。
信州大学教育学部のサイトで偶然見つけたコンテンツ。
同大学で川村康文先生という方が、「理科教育特別演習Ⅱ」というのを講じておられるのですが(http://gipvodn1.shinshu-u.ac.jp/el/e05a1/class0.html)、その紹介文の中で、理科学習指導要領の変遷が資料として挙がっています。戦後の理科教育の歩みを知るための根本資料です。
まあ、高邁な理念はさておき、私の心を捉えたのは、昭和27年の試案に付録として掲げられた「単元の指導に必要な材料」という章節です。
●http://gipvodn1.shinshu-u.ac.jp/el/e05a1/class03/class03-01f/11.html
それを見ると、例えば第1~2学年の「どんな形の月がみえるでしょう」という単元では、「月見のおかざりをする」という学習活動があって(可愛らしいですね)、そのために必要な材料は、
(1) 花びん(口の広いあきびん・ あきカン等)
(2) 野原からとってきた野草
(3) 花壇からとってきた草花
(4) 供物をするさらを作る厚紙,またはさんぼうを作る色紙
(5) 細工用粘土
(6) 野草や果物の絵をかいて切り抜きに使う画用紙
(7) はさみ
(8) クレヨン
であると、細かく例示されています。
同じく、第4~5学年の「水はどのように土地の形を変えているでしょう」という単元では、「石の観察・採集」のために、
(1) 布の袋
(2) ハンマー
(3) 太いくぎ(たがねの代用)
(4) 名札
(5) 虫めがね
を用意しなさい、さらにその後の「話合いや読書報告などに使われる資料」として、
(1) 川や海の水のはたらきを示す掛図・写真・絵・映画
(2) 岩石の図鑑
(3) 岩石標本各種
(4) 水のはたらきや岩石に関する本
(5) 地層の模型
(6) 地形の模型
を用いなさいと、なかなか周到です。
こんなふうに、授業に必要なモノがいちいち具体的に書かれていて、当時の授業風景がまざまざと思い浮かびます。
昭和27年といえば、ベビーブーマー世代が学齢期に達する直前。貧しい時代でしたが、まだ学校に物理的余裕のあった頃です。この後昭和30年代に入ると、またちょっと雰囲気が変わってくるようです。
(↑図は、「ガソリンが引火しやすいことを調べる」ための実験装置。「スイッチを入れて電流を通して電熱線を暖め,スイッチを切ってから1~2分おいてガソリンを入れる。気化をまってからふたたびスイッチを入れると爆発する。上に本などのせておもりとする」というもの。かなり危なっかしいですね。)
最近のコメント