東京天文台・夏(1)2007年07月02日 21時34分44秒


「国立天文台・三鷹キャンパス」というのが今では正式名称。
しかし、ここでは懐かしい「東京天文台」の名で呼ぶことにします。

東京天文台は、明治11年(1878)本郷に創設され、10年後に麻布に移転、さらに大正13年(1924)に観測適地を求めて東京の西郊・三鷹の地に引っ越してきました。

今でこそ住宅地に囲まれていますが、当時は草深い武蔵野の真っただ中。
今もキャンパスの中には、昔の武蔵野の面影が残ります。

濃い影を落とす緑のトンネル。
今がいちばん緑の濃い季節でしょうか。

ところで、あまり人の意識に上らないことかもしれませんが、私が生い育った土地である東京を訪れたとき一番懐かしく感じるのは、実は土の色なのです。土が茶色い、というのは関東の人間にとっては当たり前のことですが、西の方に行くと土は必ずしも茶色くないんですよ。雨が降らないときは何か灰色っぽい色をしています。

よその土地で暮らすようになって、関東ローム層のあの温かい土の色に改めて愛着を覚えるようになりました。

東京天文台・夏(2)2007年07月02日 21時39分38秒


かまぼこ型の不思議な形の建物。
1924年に建てられた、ゴーチェ子午環用の観測施設です。
古びたクリーム色の外壁に、薄曇りの柔らかい夏の日が当り、植物の緑と美しいコントラストを見せていました。

以下、案内板より。

「子午環は、子午線上の天体の位置(赤経と赤緯)を精密に観測できるように工夫された望遠鏡です。そのため、子午線面内(南北方向)でのみ正確に回転する仕組みになっています。このゴーチェ子午環は1903年フランス製で、1904年当時の価格にして約2万円で購入されました。その頃天文台があった港区麻布の地でしばらく試験的に使用されましたが、1924年に天文台が三鷹へ移転した後、主要観測装置として本格的に稼動し、恒星や月、惑星の位置観測に長い間活躍しました。なお、1923年の関東大震災時は、移転作業のために梱包されていて被害をまぬがれました。」

東京天文台・夏(3)2007年07月02日 21時41分29秒


見学順路でいうと、いちばん手前にあるのが、この第一赤道儀室です。
大正10年(1921)に完成した、東京天文台に現存する最古の建物。
現在、中には1927年製のツァイス20センチ屈折望遠鏡が鎮座しています。

全景はこちら。
http://www.nao.ac.jp/about/mtk/visit/shisetsu_koukai.html

写真は二階バルコニーの手すり。すっかり苔むして、廃屋の美が漂います。