ヴンダーカンマー的な空間2007年09月25日 09時09分01秒

大正時代の絵葉書より。

いいですねえ。
瓶詰め標本でいっぱいのキャビネット。大小さまざまな剥製(中には「コブラに巻きつかれたマングース」のように、キワ物っぽいものも…)。右手には鳥の全身骨格が、手前には蝶や蛾の展翅標本が置かれています。机上には真鍮製の顕微鏡。目をこらすと、いちばん奥の棚にも何やら生物模型らしきものが並んでいるようです。

これは正確には理科室そのものではなく、それに付随する部屋だと思いますが、私のイメージする理科室はちょうどこんな感じです。

怪しくも驚異に満ちた、まさにヴンダーカンマーの末裔というにふさわしい空間。


■データ
◇キャプション 「長崎中学校博物標本室」
◇スタンプ 「新築落成 ☆ 創立三十周年祝典記念 大正2.11.8」

県立長崎中学校(旧制)は明治17年の創立で、現在の長崎東高・長崎西高の前身にあたります。地元の名門校として、その設備にはずいぶんお金をかけたことが、この絵葉書からも感じられます。

■補遺
この標本たちはその後どうなったのだろう、原爆の犠牲になったんだろうか…と思って調べたら、長崎中学は幸い原爆による損壊は免れたそうです。まあ、今ではみな朽ち果て、散逸しているでしょうが…。

ところで、上のことは長崎東高同窓会の座談会記事(http://www19.big.or.jp/~higashi/east/zadankai_1.html)で知ったのですが、記事では旧制中学が新制高校に切り替わる前後のエピソードがあれこれ書かれていて、とても興味深かったです。当時の学生の生の意識などは、聞いてみないと分らないことが多いですね。

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