古玩談義~アンティークとは何か(6)2007年11月14日 21時18分37秒

(Sky & Telescope 誌1944年10月号表紙より。クリーブランドでの観望会風景。ぎりぎりアンティークと呼び得るであろう機材たち。)

★ R.W.氏

Bさま。あなたが書かれた定義と分岐点は、とてもいいと思います。

私見によれば、第2次大戦期こそ、一定水準以上の光学製品を大量生産する技術が真に発展し、実用化されるに至った時期です。それ以前は、多くの光学ショップが一品ごとの受注方式で、現代の目から見れば、まことに微々たる量しか生産していませんでした。それ以来、現在に至るまで、AP、タカハシ、TEC等のメーカーは、きわめて優秀な望遠鏡を大量に作ってきましたが、その多くはより現代的な環境で作られた物ではないでしょうか。

一般論として、どの年代を選ぶかは、お好み次第です。国によって違いがあってもいいかもしれません。イギリスのカーコレクターは、固定された具体的な年次をいくつか設定していたように思います。いずれも、あなたが第2次大戦で線引きしたように、ある特定の時代が終わったことと関連しています。ベテランカーといえば、赤旗法〔自動車の運行に関する規制法。1865年~96年にかけて実施〕の廃止以前に製造された車のことです。またクラシックカーといえば、1930年1月1日以前に作られたものと決まっていたように記憶していますが、これは活気ある20年代が終わり、景気後退の始まった時期に当たります。

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■メモ■

一昨日のBさんの意見は、「○○歳」という年齢で区切るより、実態に合わせて「19××年」という絶対年代で区分する方が意味があるのではないか、という提案でした。Bさん自身は否定していましたが、結局これも一種のカットオフポイントを定めることに他なりません。

で、この後も議論はしばらく続きましたが、「こと望遠鏡に関しては、第2次大戦の前後でアンティークとモダンを区切る」という提案に、はっきり反対する意見も出なかったので、メーリングリストでは一応これが結論のような形となりました。(戦後のものは、適宜「ヴィンテージ」等と呼ぶのが適当でしょう。)

さてさて、6回にわたる連載もこれで終わりですが、何となく常識的な結論に落ち着いたな、という感じがしています。