愛しき鉱石キャビネット(3)2007年12月04日 21時27分05秒


ごく私的なことですが、鉱石キャビネットからの自由連想。

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冷たい、ずっしり、理科室の暗幕、埃の匂い、H先生の黒い顔…
条痕板、茶碗の糸底、拾った石は辰砂だった、嬉しい…
「化石?」、親は違うと言った…
秩父、ハンマー、地層、クリノメーター、『採集と標本の図鑑』、白黒図版…
火成岩、第3紀、新生代、お菓子の缶に敷き詰めた脱脂綿、花崗岩、雲母…
博物館、ガラス越し、半ズボン、火山の断面、木箱、岩…
ルーペ、「ルーペには赤いリボンを付けると良い」…
断崖、三角州、四角い木の椅子、泥で汚れた窓、裏庭…
H君が持っていた化石、白い箱、欲しい、科学者、白衣…

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こうして綴っていると、だんだん狂おしい気分になってきます。
隠蔽していた記憶の扉をふと開けてしまう恐れもあるので、こういうのはあまり遊び半分にやらない方がいいのかもしれません。

それにしても、出てくるのは鉱物ではなく、岩石と化石のイメージばかりのような。
子ども時代には、美麗な鉱物標本など、あまり身近になかったせいでしょう。

いずれにしても、そこにあるのは、美しい鉱石への単純な憧れではなく、むしろ色彩としては白と黒のイメージがまさっています。そして断片化した感覚的記憶、不安と悲哀の感情。そんなものが記憶にこびりついているのを、我ながら初めて知りました。