よみがえる理科室の黄金時代…カタログ発見(7)2008年01月28日 22時36分29秒

(左は1956年版前掲書、右は2003-04年版 『ケニス理科学機器』 カタログ)

さて、この話題も1ページずつ紹介していくと、ちょっとだれてしまうので、とりあえず、あと二た品だけ取り上げようと思います。

まずは、人体模型と並ぶ理科室の雄、壜詰めの液浸標本です。

どうでしょう、皆さんの学校にはありましたか?
私の学校には、数はそれほどでもなかったですが、生徒のすぐ目に付くところにあったので、思い出深いです。学校によっては、狭義の「理科室」(授業を受ける部屋)ではなくて、「理科準備室」の方に押し込められて、生徒から秘匿されていた所もあるでしょう。ひょっとして、同じ学校でも、時代によって扱いが違うかもしれませんね。

このカタログを見ていて驚いたのは、壜詰め標本の異常なまでの種類の多さです。最近のカタログと較べると、その点が特に際立ちます。

我ながら暇だなと思いますが、ざっと数えてみました。(何種類かまとめて1本の壜に収めたものもありますが、これも1アイテムと数えます。)

この56年版では全9頁、商品は202アイテムに達します。ヒドラ、カツオノエボシ、コウガイビル、コケムシ、シャミセンガイ…とにかく何でも片っ端から壜詰めにしていたようです。

それから半世紀後の21世紀初頭ではどうでしょうか。
「2003-2004年度版」のカタログを見ると、記載はわずか1頁に押し込まれ、商品も16アイテムに減っています。

上の写真は一見左右同じに見えますが、左の56年版はこの前後にも記述がずっと続くのに、右の2003-04年版はこれが全てです。後者のカタログは、総ページ数は800頁を超える電話帳のような冊子なんですが、液浸標本は1頁のみ。まさにレッドデータブック入り確実な状況です。

こうした液浸標本は、当時でも授業ではほとんど使われなかったので、「あれは一体なんだったんだろう?」と疑問に思う人もいるでしょう。もちろん、理科室のムード作りのためだけに、生物をあやめる必要は全くないので、液浸標本の減少自体を憂えるわけではありませんが、それにしても、「物に学ぶ」姿勢が弱くなっているような気がして、その点はちょっと気がかりです。その分、すべて視聴覚教材で済ませているんでしょうか?