よみがえる理科室の黄金時代…カタログ発見(8)2008年01月29日 22時52分40秒

(↑一寸セピア調に加工しました。)

さて、このシリーズの最後は、やはり天文教具で締めくくりたいと思います。
といっても、天文関係はちょっと旗色が悪いです。

教材としては、天球儀、三球儀(太陽・月・地球モデル)、星座早見盤がいわば三種の神器で、せいぜいそこに六分儀(天体の高度測定用)が付け加わるぐらいなので、アイテム数も少なく、各アイテムのヴァリエーションも正直至極乏しいです。天文分野は理科単元として冷遇されてたんでしょうか。

ところで、今ふと思ったんですが、三球儀は曲がりなりにもコペルニクス的世界観を示していますが、地球を中心として恒星の貼り付いた天球がその周囲を取り巻く天球儀というのは、すぐれてプトレマイオス的というか、非常に古風な宇宙観の表現ですね。

こういうプリミティブな教具を使って、地味に天文教育が行われていた現実を知るにつけても、『銀河鉄道の夜』の冒頭に出てくる銀河構造論を説く授業風景が、戦前にあってはいかに尖端的で革新的だったか、改めて分かるような気がします。