星を見る魚2008年02月04日 20時56分04秒

「スターゲイザー stargazer」という語を、私は「星マニア」「天文ファン」の意味で使い、その語感から、なんとなく洒落た言い方だと受け止めていました。

実際そういう文脈で使われることもあるので、必ずしも間違いとは思いませんが、どうも本来の意味は少し違ったようです。もう30年近く連れ添っている(!)『岩波新英和辞典』で、この単語をふと引いたら、

(1)(戯)天文学者;星占い師
(2)理論家;夢想家
(3)みしまおこぜの類(魚の名)

と載っていました。元々あまり「かっこいい」イメージではなかったようです。

 ★ 

一寸おどろいたのは、スターゲイザーという魚がいることでした。

さっそく荒俣宏氏の『世界大博物図鑑』魚類編を見ると、果たして載っていました。写真の左上が、日本産のミシマオコゼ(Uranoscopus japonicus)。右上が英語で言うところの(狭義の) スターゲイザー(Uranoscopus scaber)で、荒俣氏はこの図鑑を編むに当たって、新たに「ホシニラミ」の和名を与えています。

解説文を抜き書きしておきます。

ミシマオコゼ
スズキ目ミシマオコゼ科 Uanoscopidae 8属25種の総称、およびその1種。
【名の由来】
 属名ウラノスコプスは、ギリシア語の<空 uranos>を<見るもの skopos>
の意で、この魚の目が上を向いていることにちなむ。仏名〔註:uranoscope〕
もこれに準ずる。
【博物誌】
 アリストテレス≪動物誌≫に、沿岸性で、胆のうが大きいとされる<美名魚>
は、ミシマオコゼ科のニラミオコゼである。頭頂部に目があり、たえず天を見て
いるので<ウラノスコプス>(天を見るもの)という学名にもなった呼称が、ギ
リシア時代にも使われた。天を見るのは人間の特権であるから、<美しい名をも
つ>魚なのである。

 ★

stargazer といい、uranoscope といい、いかつい顔に似ず良い名前ですね。その顔も、よくよく見れば、なかなかひょうきんで、親近感が持てます。

(G倶楽部やY星商会あたりで、ぜひキャラものにいかがでしょうか。ちなみに味も美味だそうです。。。)

コメント

_ mistletoe ― 2008年02月05日 14時07分48秒

『世界大博物図鑑』の魚類編はこのシリーズで一番初めに購入しました。
今はもう手放して持っていない本です。
オコゼですか(笑)ちょっとイメージ違うかもしれませぬ。
でもオコゼは美味しいお魚ですね(笑)

_ 玉青 ― 2008年02月05日 20時51分39秒

思い切りがいいですね! 私は根が貧乏性なので、身銭を切った本は、なかなか処分できません。限られた空間に生きる身として、もっと賢明な行き方もあるのでしょうが、これも性分で、容易に改まりません。

ときに、ミシマオコゼ。いいですよねえ。
顔と名前のギャップもいいし、その仲間には強力な発電器を備えたものもいるらしいです。自らスパークしながらのんびり星を見上げているとは、ますますイカス奴…

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