ステラフェーン2008年02月08日 23時00分51秒

(↑ステラフェーン公式サイトより。伝統的にピンクに塗られた建物。)

(昨日のつづき)

ステラフェーンとは、バーモント州スプリングフィールドの丘の上に立つ、クラブハウス兼天文台の名前です。(Stellafane の名は、「星の神殿」を意味するラテン語 stellar-fane からとりました。)

1920年、地元に住む15人の男性と1人の女性が集い、ラッセル・ポーターから鏡面磨きを習うことを誓い、これが後に「スプリングフィールド望遠鏡製作家協会」へと発展していきます。

1923年、協会の創設後まもなくして、この地にステラフェーンの建物が完成し、以後ステラフェーンは同協会のシンボルとして、その物理的・精神的結節点となります。地元の有力者、ジェームズ・ハートネスの支援があったことも、協会を大いに力付けました。(ハートネス自身、熱狂的な天文マニアであり、彼が作った奇抜な望遠鏡は以前も取り上げました。http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/07/01/428096

そうした噂を聞きつけて、ポーターに接触してきたのが、「サイエンティフィック・アメリカン」誌の編集者、アルバート・インガルスでした。インガルスはそれ以前から独自に望遠鏡作りに興味があり、熱心に情報を探していたのです。この辺の消息は、彼が編んだ AMATEUR TELESCOPE MAKING に詳しく述べられています(後述)。

ともあれ、インガルスのジャーナリストの才もあずかって、この望遠鏡自作熱は、1920年代から30年代にかけて全米に急速に広まっていきました。

スプリングフィールドでは、当時から現在に至るまで、毎年夏に天文マニアの大規模な集会(一種のお祭り)が開かれています。今では「ステラフェーン」と言えば、上記クラブハウスの名であると同時に、このお祭りの代名詞としても使われています。

(この項つづく)