『星の世界をゆく』…古書に見るドイツ気質2008年12月02日 20時58分30秒

さて、亀甲文字の障壁を(気分的に)乗り越えたので、ドイツの天文古書を載せます。

どうでしょう、この堂々たる造本は。
表紙全体を覆う装飾文様は、平面的なプリントではありません。表紙をプレスして、ゴツゴツとした凹凸模様を作り出しています。
鼠地に黒の唐草や金文字をあしらった配色も、実に渋い感じ。
月も、彗星も、土星も、鈍く金色に光っています。

何とも大時代なこの本が、実は1880年に出たものと知ると、軽い驚きを覚えます。

同時代の英米の本にも美しい装丁の本はありますが、大抵は流麗なヴィクトリアン・アールヌーヴォー調で、こうした大仰なバロック的美意識とはかなり異質な感じを受けます。

この何か盛装した村夫子のような、朴訥な華麗さがドイツ古書の魅力かもしれません。


■F.ジグムント『星の世界をゆく-宇宙空間の驚異』
 Ferdinand Siegmund
 Durch die Sternenwelt oder Die Wunder des Himmelsraumes.
 Hartleben’s Verlag, 1880

コメント

_ れいこ ― 2008年12月05日 08時18分36秒

真ん中で輝く月が素敵ですね。プレスされた立体的な装飾は好きなもののひとつです。
クールの件ではこちらもあられもなく盛り上がって申し訳ありませんでした。でも、クールの本そのものの価値は、やはり素晴らしいと思います。できればまた機会がありましたら図版をブログで取り上げていただけたら幸いです。
ドイツの亀甲文字、読み慣れないのですが雰囲気は好きです。なので、玉青さんがこの前の記事ではってくださったリンク先はありがたいです。

_ 玉青 ― 2008年12月05日 20時54分09秒

この度はお騒がせして面目ありません(汗)。

鉱物の話題はこのあとも出てきますので、またクール本のお世話になる機会もあるでしょう。

私も年ふるごとに、亀甲文字にもっと親しみたいという思いが募ってきました。亀の甲より年の功です(意味不明)。まあドイツ語の初歩を学ぶのが先かもしれませんが…。

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