青い闇。一瞬の輝き。2009年08月29日 16時26分35秒

(↑額縁のガラス越しに撮ったので、私自身の影が写り込んでいます)

19世紀後半のフランスの天文書の挿絵。
絵師と版画職人の分業で刷られた、美しい石版画です(印刷面のサイズは約 10.5×17.5センチ)。
これ1枚バラで売っていたので、元の書名は残念ながら分かりません。
今は額に入れて書棚の前に掛けてあります。

最初、彗星の絵かな?と思いましたが、タイトルを見れば分かるように、流星の親玉である「火球」とその軌跡を描いた絵。

星が静かにまたたく夜。
まばらな木立の上に突如現れた巨大な火球。
その明かりが水面に反射し、河畔に係留されたボートのシルエットが浮かび上がった瞬間。

そうした<一瞬>を切り取り画面に固定した、画家のすぐれた眼と技量、それに豊かなイマジネーションに感心します。何となく火球が消え去ったあとの静寂と深い闇までも予期させるところに、絵としての深みがあるようです。