原子の力に不可能なし: 空飛ぶ天文台2009年09月30日 17時02分55秒

ついに家人からもインフルエンザ患者が出ました。
幸い症状は軽いようです。
皆様、どうぞお気をつけください。

  ★

さて、空飛ぶ天文台。
本文記事を、大きいサイズのままアップしましたので、じっくりご覧ください。

当時はまだ旧字・旧かなですね。
  「土星には非常に美しい環のあるのが見えます。
   この環はいつたい何なのでせう。これは粒の
   集まりだといはれますがはたしてさうでせうか。」
声に出して読むと、何だかおかしいです。

パロマー山天文台のオープン前なので、まだウィルソン山が世界最大の望遠鏡となっているのも時代を感じます。

で、肝心の空飛ぶ天文台ですが、記述が何だか中途半端。
「原子の爆発力」を利用して(危なっかしいですね)、大気圏外に大反射望遠鏡を飛ばせば、地上の天文台よりもはっきり天体をとらえることができる…という発想は問題ないですね。でも、それによって解ける謎というのが、「電離層とか宇宙線とかオーロラーとか磁気嵐といふやうなものがどうしておこるのか」というのは、ちょっと違うんじゃないか、何だか話がみみっちいぞ…と感じられます。

これは、木島玄治郎先生(寡聞にして知らず)のお話を、編集部が曲解したせいかもしれませんが、ともあれ現実の宇宙望遠鏡の活躍を知る我々は、ここでささやかな未来人の優越感を味わうことができますね。(そして将来自分たちが嗤われると。)

この空飛ぶ天文台、構造的にはどうでしょう?
何せ「原子の爆発力」ですから、ロケットの力を借りずに、これ単体で飛び上がるようですが、うーん…心配です。昨日の表紙絵を見ると、白衣の博士集団、女性技術者、きりりと制服を着込んだ操縦士チーム、おかっぱの少女…etc、いろんな人が乗り込んでいますが、みな無事に帰還することを祈るばかりです。

コメント

_ S.U ― 2009年10月01日 19時19分16秒

インフルエンザお見舞い申し上げます。何とか人類がインフルエンザを克服する日が来ることを切望しております。

 この土星についての記述は、「やはらかな」文章で、自信無さそうというか、無責任なところがいいですね。これを読んだ子どもは「それではボクが将来研究して謎を解いてやろう」という気になったのではないでしょうか。
 
 ソヴィエトでは、1960年頃まで、原子力ロケットを有人火星飛行の本命と考えて研究していたとか。この雑誌のアイデアは、当時としてはきわめて「常識的」なものだったのかもしれません。

_ 玉青 ― 2009年10月01日 23時00分33秒

お見舞いありがとうございます。

昔は何かにつけ<原子力>の力技を持ち出していたような気がします。
その威力に、科学者も、一般の人もすっかり幻惑されていたのでしょう。

そういえば、今度「アトム」がまたリメークされるそうですね。

_ S.U ― 2009年10月02日 20時07分10秒

><原子力>の力技
 たいへんな力持ちでいらっしゃることは確かなのですが、
 余った勢いのコントロールがどうにも難しいです。

>そういえば、アトム
も十万馬力を百万馬力に改造しようとしてうまくいかず、また十万馬力に戻されたことがありました。

_ 玉青 ― 2009年10月03日 19時22分40秒

帯に短い…かどうかは微妙ですが、たすきに長い場面は多いですね。

ところで、「鉄腕アトム」も直截な名前ですが、「原子 力(はらこつとむ)」とはまた何とあざとい…。
何でも、資源エネルギー庁原子力発電立地対策・広報室のイメージキャラクターだそうですが、この原子(はらこ)さん一家、お父さんが「力(つとむ)」で、長男が「原子エネル」、長女が「原子ギー子」だとか。うーむ、何をかいわんや。日本の原子力政策は果たして大丈夫でしょうか。
http://www.enecho.meti.go.jp/genshi-az/character.html

_ S.U ― 2009年10月04日 09時05分24秒

原子さん一家による原子力の解説「キッズコーナー」を見ました。キャラクターは安直ですが、実はなかみは大人向けの「早わかり資料」と見ました。

 原子力政策推進の問題については脇に置くとして、高校や大学で、原子核物理や原子力工学について、もう少し大勢の人が勉強する機会があって良いのではないかと思います。(せめて化学I・IIの3割くらい) 原子力(原子核)について学ぶことが必要な状況にある人しかちゃんと勉強しないという状況が、「わからんことは、お上にまかせろ」という形につながっているように思います。原子爆弾や原子力発電についてすでに数十年間にわたって延々と問題になっているのに、その学問の基礎すらいまだ一般教養のレベルに達していない(というか最近はさらに後退しているかも)というのは、他の問題との関連はどうであれ、はなはだよろしくないことだと思います。

_ 玉青 ― 2009年10月04日 17時14分43秒

かく言う私も、あまり分かっていないわけですが…

原子力の問題と向き合うには、原子をめぐる物理学の基礎がまず必要ですね。さらに、メディアリテラシーと倫理学の素養、そして何よりも自分の頭で考える気構えが要りそうです。

(…と書きながら、数千年の後まで禍根を残しかねない場面では、ひょっとしたら聡明であるよりも、臆病であることが重要なのかもしれない…と思ったりもします。)

_ S.U ― 2009年10月04日 18時52分52秒

>聡明であるよりも、臆病であることが重要

そうですね。科学技術もここまで進歩すれば重要なのは「無知の知」というやつかもしれません。

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