クリスタルの中に宇宙がある2009年10月05日 20時01分01秒

(↑「青いビー玉」より)

昨日の記事からの連想。

「水晶の中に封じ込められた土星」
「強力な思念の力によって、水晶の中に生じた銀河」
いずれも、たむらしげる氏の画文集『水晶山脈』の中で描かれるイメージです。

また、氏の掌編「青いビー玉」(作品集『スモールプラネット』所収)には、「ビー玉の中の宇宙」が登場します。

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ビー玉を覗くと見える無数の星たち。もし、ものすごく高倍率の
顕微鏡があれば、そうした星で暮らす住人たちだって見えるに
ちがいない…。ある晩、書斎でそんな空想にふけるフープ博士。
そのまま、ふらりと夜の街に散歩に出かけると、いつの間にか、
自分の周囲の物体が、みな急速に縮んでいくのに気付きます。
山も、地球も、星雲も、何もかもがグングン小さくなっていき、その
うち目の前には、透明な<宇宙の果て>が現われます。その壁の
向こうに目をやれば、そこには見慣れた自分の書斎が…。

   ★

手にした鉱物の結晶や、ガラス塊の中には1個の世界が存在し、それが現実の世界と入れ子構造になっている…というイメージは、人の心に強く訴えかけるものがあります。
私も子供のころ、そんなことをボンヤリ空想したことがあるような気がします。

いや、子供の頃ばかりでなく、私は今でも頻繁にそんなことを考えます。
たとえば、インスタントコーヒーを入れると、表面に細かい泡ができますね。その泡の集団がクルクル回りながら、互いにくっついたり、徐々に消えていくのを見ると、そこに1個の宇宙の生成と消滅する様を思い浮かべたりします。