金満蒐書家を気取る(2)2009年11月23日 19時31分27秒

急いで付け加えると、昨日のカタログに載っている情報は、ほぼ全てクリスティーズのサイト(※)にも掲載されています。ですから、あえてお金を払って、用済みのカタログを買う必要はないのですが、やはりペラリペラリと頁をめくるところに金満的な風が吹くので、今回はあえて金満的に行動してみました。

(※)http://www.christies.com/LotFinder/searchresults.aspx?intSaleID=21644#intSaleID=21644

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さて、今回売り立てがあった「リチャード・グリーン蔵書」。
リチャード・グリーン氏とはいったい何者か?カタログの「Preface」には、以下のような簡単な紹介があります(適当訳)。

「外科医にしてアマチュア天文家である、グリーン博士が蒐集を始めたのは1970年代初頭。最初の頃にガリレオの『天文対話(Dialogo)』(ロット番号137)を購入したことで、彼の蔵書づくりには本格的な火がついた。ガリレオの著書として最初に公刊された『幾何学的軍事コンパスの効用(Le operazioni del compass geometric, et militare)』(ロット番号130)を含む、彼の他の8つの主要著作が、その後につづいた。

1975年に、グリーン博士は個人所有のものとしては恐らく最善の1冊と思われる、コペルニクスの『天球の回転について(De revolutionibus)』(ロット番号60)を購入したが、これこそどんな天文学ライブラリーにおいても決定的に重要な著作である。グリーン蔵の、このコペルニクスの最高傑作は、余白をまったく切り詰められておらず、当時の装丁のままであり、漂白もプレスもかけられていない。〔…〕

グリーン博士の科学書に対する関心の幅は、コレクションを続けるにつれて広がっていった。思想史上の重要な著作の蒐集が加わったことで、数学、心理学、哲学に加え、さまざまな科学分野における重要な著作の探求が行われた。〔…〕グリーン博士の蔵書が明らかにしているもの、それは外界の観察から内界の探求にまで及ぶ、科学的・数学的・哲学的思考の革新的なこの6世紀間の歩みである。」

これを読んでも、グリーン氏の経歴はあまりよく分かりませんが(生没年―そもそも存命なのかどうかも不明)、とにかく医業のかたわら、とてつもない個人蔵書を築き上げた人のようです。ちなみに、上で名前の挙がったガリレオの本は、それぞれ10万ドルと50万ドルで落札されました。で、コペルニクスは220万ドル余り。合掌。

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画像はロット番号177、ヨハネス・ヘヴェリウス(1611-1687)が著し、その没後に未亡人が出版した『星座図絵(Firmamentum Sobiescianum, sive Uranographia)』(1690)。

現代の我々がふつうにイメージする星座絵の原点とも云える、華麗な作品ですが、その出版の事情も絡んで、この本はごく少部数しか作られなかったそうです。
評価額5~7万ドルのところ、実際には8万ドルで落札されました。

うーむ。。。
「だから、どうした?」と言われれば、それまでです。
何かここで一つ教訓めいたことを書きたいのですが、何も言葉が出てきません。