ジョバンニが見た世界…銀河の雑誌と大きな本(2)2009年11月28日 22時37分19秒

カウンタが復旧しないので、付け替えました。

  ★

(昨日のつづき)

カムパネルラのお父さんは、「巨きな本」の収まった書斎を持った「博士」です。

息子が書斎に自由に出入りし、そこから本を持ち出すことを許されているのは、彼のオープンな人柄と子煩悩ぶりを物語ります(そして、書斎の隅に“禁断の書”を隠し持っている…ということもなさそうですね)。彼は尻尾のふさふさした犬を飼い、息子に高価な汽車の模型を買い与えていますが、これは彼の裕福さを示すと同時に、良き家庭人であることも表現しているのでしょう。物語の最後では、息子の死を冷徹に受け止め、なおかつ、息子の友人であるジョバンニに優しい言葉をかけられる人。

総じて、知的中産階級に属する良識の人という感じですが、この人はいったい何の博士だったのでしょう?

彼はジョバンニのお父さんと幼なじみだそうですから、きっと今も住むこの町で生れ育ったのでしょう。それで生活が立ちゆくとなると、彼は「医学博士」であり、世襲の開業医だったというのは、大いにありそうな話です。

カンパネルラが落ちた暗い川面から、手にした時計に目を移し、「もう駄目です。落ちてから四十五分たちましたから」と、きっぱり言う哀切な場面。この描写は、彼が感情を理知で制御できる人であると同時に、普段から人の死に接していることを暗示するのかもしれません。

仮に彼が医師だとすると、その天文知識は一般教養人のそれだということになります。そして、息子がすぐに書斎から目指す本を持って来られたのは、日ごろ息子にその本の内容を説いていたせいでしょうから、彼は前から星には興味があったのでしょう。

こんな風に想像を逞しくしていくと、だんだん私の中でイメージが固まってきます。
<…きっと書斎には一般向けの天文学書が何冊か並んでいたに違いない。…息子もそれに感化されて、天文知識はなかなかのものだったろう。…そんな父子が20世紀の初め頃に目にしていた雑誌や本といえば…>
ちょっと妄想が先走っているかもしれませんが、この辺を手がかりに考えてみます。


【11.29付記】 言葉足らずの箇所を少し修正しました。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック