こってりと植物画を見る2010年01月11日 22時41分31秒

昨日、名古屋ボストン美術館で開かれている植物画展を見に行ってきました。

■永遠(とわ)に花咲く庭:17-19世紀の西洋植物画
 http://www.nagoya-boston.or.jp/exhibition/list/garden-200912/outline.html

博物画にかかれる画題の両横綱といえば、伝統的に植物と鳥類らしいです。
今回の展示品には、王侯貴族が金に糸目をつけずに制作させたものも多く、まさに西洋花鳥画の世界というか、会場にはかなり「ごちそうさま」ムードが漂っていました。

額装された作品以外に、オリジナルの図譜も会場には陳列されていました。あれはジャイアント・フォリオ版というんでしょうか、ものすごく巨大な(畳半畳ぐらいありそうな)本がドドーンという感じで置かれていて、その量感にも圧倒されました。

ソーントンの『フローラの神殿』とか、メーリアンの『スリナム産昆虫の変態』とか、荒俣宏さんの本に出てくる作品の現物を見られたのは、嬉しかったです。

ただ、私は博物趣味が好きで、図鑑芸術の愛好者ではあるんですが、今回出展されているような、いわゆるボタニカル・アートには今一つ感情移入ができません。いわゆる「お花の絵」は、キレイなものをキレイに描いてあるだけのように思えてしまうからです。一般受けする美人画のようと言いますか。

もちろん花に罪はないし、描き手もいい仕事をしてるんですが、花(特に園芸植物)に注目するという興味の向け方自体が、私の物差しでいうとナチュラリストっぽくなくて、何となく苔とか、キノコとか、昆虫とか、磯だまりの生物とかの方がエライように思えてしまいます(完全に偏見でしょうけれども)。

ところで、今回は植物画を観賞する以外に、いろいろな版画の技法を、実物に即して知ろうという狙いもありました。以前から、1枚の版画作品を前にしたときに、これはエッチングだ、あれはアクアチントだと、パパッと見分けられるようになりたいと思っているのですが、これまで何回説明を聞いてもよく分かりませんでした。そこで、実物をじっくり見たのですが、うーむ、やっぱりよく分かりません。

それを学ぶには、実作するか、ルーペとかでよーく見ないといけないのかもしれません。

【付記】 文中、「ジャイアント・フォリオ」を、「エレファント・フォリオ」に訂正します。エレファント・フォリオの本になると高さは約60センチ。これだけでも十分ズシッと来る大きさですが、世間にはさらにその倍のサイズ、高さが優に1メートルを超える版形も存在し、これを「ダブル・エレファント・フォリオ」と称するそうです。(参考: http://www.trussel.com/books/booksize.htm