海洋気象台のファンタジー2010年03月07日 10時41分49秒

先月、神戸の記事を書いているうちに、私は海洋気象台がだんだん好きになってきました。

大空と大海原。
気象学と海洋学。

何だか、そこには胸いっぱいの開放感と、爽やかな夢が詰まっているようです。
もちろん、その現実の業務はよく知らないのですが、天文台と同じく、海洋気象台も遠い少年時代の夢をはげしくかき立てる存在です。

ここで、今も活動している現実の神戸海洋気象台ではなしに、戦前の海洋気象台に過剰なファンタジーを抱くところが、子どもっぽいというか、「天文古玩」ぽい志向性なのでしょう。そして、あくまでもモノにこだわるところが。

そんなわけで、創設されて間もない大正時代に出た海洋気象台の刊行物を買いました。その話は次に回すことにして、今日は絵葉書を1枚載せます。

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周囲を日本家屋に囲まれて、すっくと城館風の建物が立っています。
壁は純白、屋根は朱ですから、木々の緑に映えて、さぞ美しい眺めだったことでしょう。

高塔に張られたアンテナ線も、当時の少年にとっては憧れだったはずで、この丘は全体に魔法と科学が奇妙に混和した、お伽話めいたオーラを放っていたんではないかなあ…と想像します。

ひょっとして、これが東京にあったら、乱歩あたりが盛んに作品で取り上げて、もっと文学的にポピュラーな存在になっていたかもしれない、と思わなくもありません。いや、でもやはり神戸だからいいのか…。