雲をつかむような話(1)2010年03月13日 21時28分21秒

春愁、でしょうか。
今日は何となく物憂くて、無為に過ごしました。

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さて、この間の『海洋気象観測法』には、姉妹編というか、補遺があります。
翌大正11年に出た、『雲級図』なる小冊子です。
海洋気象台のロゴがいいですね。

「序」には発刊の経緯が次のように書かれています。

「当台にては昨年海洋気象観測法を刊行し、船舶に於て
気象観測を為す人士の参考に供せり 而して同書中に
雲形を記述するに当り全く図画を挿まざりし為め、初めて
観測に従事せんとするものには 階梯として甚だ物足らざる
感なきにしも非ず、之を以て別に雲級図を刊行して之を
補足せんと欲し、適当の雲形の顕はるゝ毎に或は之を撮影し
或は之を写生し 漸くその資料となる可きもの数種を得たり、
依って茲に之を印刷に附し 弘く気象観測に従事する人士の
参照に便にす」

<雲級>というのは、要するに雲の種類のことで、気象学では何でも10種に区分するのが好きなのか、雲の形もやはり10種に大別されています。

いわゆる層雲とか積乱雲とかいうやつですが、この冊子の解説を読むと、この10種雲級の定まるまでには、多くの学者がいろいろ苦労してきたことが書かれています。身近な存在とはいえ、いかにも不定形な相手だけに、その苦労の程がしのばれます。

で、その記述がなかなか興味深いので、それを書き留めようと思いましたが、何せ春愁の気味合いで根気が続かないので、それはまた明日に回すことにします。

(この項つづく)