新しい理科室の胎動2010年04月30日 20時05分23秒

「見せる」理科室写真を撮りたい!
そう考える先生が、フランスにも出現しました。
…と思ったら、早とちりでした。

机に置かれているのは、いずれも顕微鏡とライトとルーペと円形水槽がセットになっていて、何かの生物実験(観察)が進行中の模様。

よく見ると、顕微鏡もライトも形がバラバラで、規格品のまとめ買いをすることをしなかったみたいですね。顕微鏡の中には随分と古風な、19世紀中ごろのように見えるものもあって、この学校の歴史を感じます。

ここは、パリのモンパルナス墓地にほど近い、ポール・ベール高等学校(現在の校名はLycée Général et Technologique Paul Bert)の自然科学実験室。絵葉書が作られたのは、1910~20年頃と思います。

しかしこの理科室、見るからに理科室・理科室してますね。
当り前のようでいて、実はそこが大きな特徴。
鉄製の脚を備えた武骨な机といす。無駄な装飾を極力排したキャビネット。
こうしたシンプルで機能的なインテリアは、いわゆるミニマリズムのデザインを先取りしており、むしろ近年の日本の理科室と相通ずる雰囲気があります。この部屋が、我々の目にいかにも理科室らしく映るのはそのせいでしょう。でも、時代と国を考えると、こうした空間構成はちょっと珍しい。顕微鏡とライトの一件も含め、そういう質実剛健な校風だったのでしょうか。

ともあれ、20世紀の第1四半期、新時代の理科室は徐々に姿を見せつつありました。

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