稲垣足穂大全 Summa Tarhologica (後編) ― 2010年05月04日 21時03分49秒
本全体の表情はこんな感じです。天の方から逆さまに見たところ。
第1巻の遊び紙には、足穂による三日月のクレパス画と、おなじみのイソギンチャク・スタンプが押されています。左上はカットされていますが、最初からそういうデザインなのか、何かがここに書かれていたのかは不明。他の特装版ではどうなっているんでしょうか?(ご存知の方は、お教え下さい)
余白と活字の組み方がゆったりしているのもいいですね。読みやすそうです。
★ ☆
ところで、この特装版。こういう金満的な品がなぜ私に買えたかといえば、ずばり安かったからです。というのは、このセットは外函のない裸本で、しかも月報まで欠けているという、<商品>としては重大な欠陥があったため、非常に廉価で売られていました。
私はこれを愛蔵する気はなく、ふつうに読む目的で買ったので、それで不都合はないのですが(二重箱入りの‘美本’だったら、とても気安く開いたりできませんから)、気になるのは、そもそもなぜそういう状態のセットが存在するかです。彼のファンが愛蔵するために買ったのなら、函や月報を処分するはずがない。たぶん元の所有者は、あまり愛蔵という観点からこの本を考えなかったのでしょう。
買ってから気付いたのですが、この特装版「大全」は、限定75部のうち通し番号が2番(!)で、妙に番号が若い。ひょっとしたら、このセットは、足穂もしくは「大全」出版企画の周辺にいた人に寄贈されたものではないか…とも想像されます。
で、上に書いた遊び紙のカット部分の件ですが、これがもし意図的なデザインではなく、ここに何らかの識語や献辞が書かれていて、それを故意に切断したのだとしたら、誰がどういう心模様でそうしたのか…少なからず興味をそそられる点です。
現在の持ち主として、私にはそれを知る権利がある…かどうかは知りませんが、できることなら知りたいと思っています。
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