パテェ・ベビーの画面に星がまたたくとき、タルホが来りて… ― 2010年06月03日 18時25分37秒
…雨脚がだんだん強まる中、この奇妙な会に集まった人たちは、陰鬱に押し黙ったまま、これから何が始まるのか、それぞれに思いを凝らしているようでした。
この家の主は、奇妙な光を帯びた目でそれを眺めながら、おもむろに口を開きました。
「お足元の悪い中、皆さんようこそお越しくださいました。全員お集まりのようですね。では、そろそろ始めましょうか。」
主は立ち上がって電燈をパチンと消し、手探りで映写機のスイッチを入れました。
「これから、画面に現れるものによく注目してください。見えるのはほんの一瞬かもしれません。しかし、必ず見えるはずですので、どうぞお見逃しなく。」
この家の主は、奇妙な光を帯びた目でそれを眺めながら、おもむろに口を開きました。
「お足元の悪い中、皆さんようこそお越しくださいました。全員お集まりのようですね。では、そろそろ始めましょうか。」
主は立ち上がって電燈をパチンと消し、手探りで映写機のスイッチを入れました。
「これから、画面に現れるものによく注目してください。見えるのはほんの一瞬かもしれません。しかし、必ず見えるはずですので、どうぞお見逃しなく。」
カタカタ…と機械が動き、フィルムが回り始めました。
まず画面に登場するのは、パテェ社の雄鶏マークです。
どこからかシガレットの匂いがかすかにします。早くもタルホの霊気を感じます。
いよいよ物語が始まります。遠い山並みの上に浮かぶ月、そして星。
地球は丸い惑星です。
巨大で燃え盛るもう一つの球、すなはち太陽に照らされてゐます。
巨大で燃え盛るもう一つの球、すなはち太陽に照らされてゐます。
地球はこんな工合に、一つの方向からのみ照らされてをります。
一方が晝で、反對側は夜です。
一方が晝で、反對側は夜です。
…仮想上映会はこのあとも続きますが、フィルムの紹介はここまでで終りです。
あんまりフィルムを引っぱり出すと、元に戻せなくなりそうなので。
太陽と地球の物語がこの先どう展開するのか。
そして、上映会に降臨したタルホが何を語るのかは、私も知りません。
他の皆さんとともに想像するのみです。
★
百物語は99話で語り納めとするのが、古くからの定法だそうです。
(なお、上の画像はふつうのスキャナーを使い、800dpiで読みました。)
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