二廃人、いつもの話を蒸し返す。 ― 2010年06月05日 21時45分50秒
「やあ、疲れた顔をしているね。」
「ああ、君か。うん、今日は部屋の片づけをしていてね。いささか草臥れた。」
「またかい。しょっちゅう片づけをしてる男だな。」
「しょうがないよ。すぐに散らかるんだから。収納力もとっくに限界を超えてるんだ。」
「それでもまだ物を買い込む奴の気がしれないね。」
「自分でもそう思うよ。まったく自分の性癖が呪わしい。」
「ははは、今日はずいぶん素直だね。反論はなしか。」
「ああ、なしだ。全くない。ただね、これまで買い込んだものを眺めていて、不思議と後悔はしない。みんなよく来てくれたねえ…と、声をかけたい気がする。」
「結局、ぜんぜん懲りてないわけだ。」
「うーん、これは懲りるとか懲りないとかいうことじゃなくて、何て言うかな、出鱈目に買っているようにみえて、やっぱり何か必然性があったというか。不合理なように見えて、より高次の合理性に裏打ちされた行為というか。要するに、自分の行為に意味を感じるということだな。人生は大いなる無意味とはいえ、こと自分の人生に限っていえば、意味がなければとても耐えられない。そうは思わないか。」
「ははん。これだけ買い込んで、意味を感じられなかったら、恐るべき悲劇だろうな。」
「厭なことを言うね。」
★
「じゃあ、君が書いてるブログ、あれも意味の産物か。」
「ブログねえ…。あれはあれで、ちょっと複雑な気がしている。」
「ん?どういうことだい。」
「毎日書くのは、ちょっとしんどい。」
「別に毎日書かないといけない決まりはないだろう。マイペースで書けばいいじゃないか。」
「そうはいかない。あれはネットで公開している以上、他の人も読んでいるわけだけれど、第一の読者は自分だ。当り前のことだけれど、僕は書き手であり、同時に読者でもある。その読者としての自分が、そういう書き方を認めようとしないのだ。書き手のマイペースと、読み手のマイペースが一致しないというかな。」
「分かったような、分からんような話だな。」
「簡単なことさ。あんな駄文でも、面白いと思わなけりゃ、書く意味はないじゃないか。で、そんなに大して中身もない話を、のんべんだらりと書かれたんじゃ、読む方としてはいっこうに面白くも何ともないわけさ。」
「ふーん、ご苦労な話だな。まあ、それで君が良けりゃ、こっちとしては何も言うことはないが。」
「だから、複雑な気がしている、と言ったじゃないか。あんまり水臭いことを言わんでくれよ。うん、どうだろう、読み手が一人に書き手が一人じゃ追っつかないから、君も書くのを手伝ってくれないか。」
「いや、ごめん蒙る。それよりも、君は読み手を減らす努力をした方がいいね。書くときは両目で、読むときは片目で読むといいよ。じゃ、また。」
「ああ、君か。うん、今日は部屋の片づけをしていてね。いささか草臥れた。」
「またかい。しょっちゅう片づけをしてる男だな。」
「しょうがないよ。すぐに散らかるんだから。収納力もとっくに限界を超えてるんだ。」
「それでもまだ物を買い込む奴の気がしれないね。」
「自分でもそう思うよ。まったく自分の性癖が呪わしい。」
「ははは、今日はずいぶん素直だね。反論はなしか。」
「ああ、なしだ。全くない。ただね、これまで買い込んだものを眺めていて、不思議と後悔はしない。みんなよく来てくれたねえ…と、声をかけたい気がする。」
「結局、ぜんぜん懲りてないわけだ。」
「うーん、これは懲りるとか懲りないとかいうことじゃなくて、何て言うかな、出鱈目に買っているようにみえて、やっぱり何か必然性があったというか。不合理なように見えて、より高次の合理性に裏打ちされた行為というか。要するに、自分の行為に意味を感じるということだな。人生は大いなる無意味とはいえ、こと自分の人生に限っていえば、意味がなければとても耐えられない。そうは思わないか。」
「ははん。これだけ買い込んで、意味を感じられなかったら、恐るべき悲劇だろうな。」
「厭なことを言うね。」
★
「じゃあ、君が書いてるブログ、あれも意味の産物か。」
「ブログねえ…。あれはあれで、ちょっと複雑な気がしている。」
「ん?どういうことだい。」
「毎日書くのは、ちょっとしんどい。」
「別に毎日書かないといけない決まりはないだろう。マイペースで書けばいいじゃないか。」
「そうはいかない。あれはネットで公開している以上、他の人も読んでいるわけだけれど、第一の読者は自分だ。当り前のことだけれど、僕は書き手であり、同時に読者でもある。その読者としての自分が、そういう書き方を認めようとしないのだ。書き手のマイペースと、読み手のマイペースが一致しないというかな。」
「分かったような、分からんような話だな。」
「簡単なことさ。あんな駄文でも、面白いと思わなけりゃ、書く意味はないじゃないか。で、そんなに大して中身もない話を、のんべんだらりと書かれたんじゃ、読む方としてはいっこうに面白くも何ともないわけさ。」
「ふーん、ご苦労な話だな。まあ、それで君が良けりゃ、こっちとしては何も言うことはないが。」
「だから、複雑な気がしている、と言ったじゃないか。あんまり水臭いことを言わんでくれよ。うん、どうだろう、読み手が一人に書き手が一人じゃ追っつかないから、君も書くのを手伝ってくれないか。」
「いや、ごめん蒙る。それよりも、君は読み手を減らす努力をした方がいいね。書くときは両目で、読むときは片目で読むといいよ。じゃ、また。」
コメント
_ じゃんく王 ― 2010年06月06日 08時55分13秒
_ 玉青 ― 2010年06月06日 17時09分39秒
○じゃんく王さま
おお、身につまされましたか!心強い同志の登場ですね。
じゃんく王さんも、天文骨董(ガラクタとはどうかおっしゃいませぬよう)の蒐集に励まれているとのこと。戦前の2インチ屈折といいますと、機材関係のコレクションをされているのでしょうか。私の場合は紙物が多いので、かさばるといっても多寡が知れていますが、3次元の物体を集めてらっしゃるとしたら、とんでもなく場所を取りますよね。その状況を想像するのが一寸恐ろしい気がします(笑)。
貴ブログを拝見しました。現在更新休止中とのことですが、何とかじゃんく王さんのコレクションの一端なりとも拝見することは叶いませんでしょうか。天文アンティークをメインに記事を書いている者として、ぜひ!どうぞご一考ください。
今後もお気軽にコメント頂戴できれば幸いに存じます。
おお、身につまされましたか!心強い同志の登場ですね。
じゃんく王さんも、天文骨董(ガラクタとはどうかおっしゃいませぬよう)の蒐集に励まれているとのこと。戦前の2インチ屈折といいますと、機材関係のコレクションをされているのでしょうか。私の場合は紙物が多いので、かさばるといっても多寡が知れていますが、3次元の物体を集めてらっしゃるとしたら、とんでもなく場所を取りますよね。その状況を想像するのが一寸恐ろしい気がします(笑)。
貴ブログを拝見しました。現在更新休止中とのことですが、何とかじゃんく王さんのコレクションの一端なりとも拝見することは叶いませんでしょうか。天文アンティークをメインに記事を書いている者として、ぜひ!どうぞご一考ください。
今後もお気軽にコメント頂戴できれば幸いに存じます。
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戦前の2吋屈折望遠鏡をレストアしている関係でこちらにお邪魔させて
いただくようになった者です。
今回の記事はなんとも身につまされる内容で御挨拶せずにはいられなく
コメントさせていただきました。
海外駐在から戻り、ブログ発信の重圧に耐え切れずもう3年アップせずです。
しかし天文ガラクタ収集の癖は治らず、世に散らばるお宝は私の元へ
集まってきてしまいます。物に囲まれ、生活する空間を作るため
毎週のように片付けに明け暮れています。
今回の記事拝読させていただき、なにか気が晴れたというか
ちょっと安心してしまいました。
ありがとうございました。