地球儀を改造せよ(後編)…棚の奥から(9) ― 2010年08月21日 12時58分22秒
(昨日のつづき)
思わせぶりに記事を2つに割りましたが、別段「ビックリ」はありません。
中から出てきたのは、何の変哲もない、小さな地球儀。高さは約22センチです。
いつ頃のものかな?と思って地図を眺めると、朝鮮半島と台湾が赤くなっています。
そして中国はまだ清の時代。
1910年、日韓併合。1911年、辛亥革命により清が消滅。
この地球儀は、東アジアの政治的枠組みを左右した、2つの大事件にはさまれた、ごく短い期間に作られたものです。満100歳の地球儀がものがたる、100年前の世界。
国境重視の行政型地球儀には、否応なく時代の刻印が押されています。
というか、それを印すことを目的に作られた道具ですね、これは。
この青い惑星の表面に引かれた、人間にしか見えない無数の線、そして奇妙なパッチワーク。
この「改造地球儀」は、「改造/地球儀」ではなく、実は、「改造地球/儀」を意味しているのかもしれないな…と、ふと思いました。この地球儀が生まれた頃から、「地球を改造せよ!」と怒号する列強の声はいよいよ喧しく、彼らの思惑は、惑星の各地で衝突することになります。
思い起こせば、明日8月22日は、日韓併合条約が調印された日。
メディアが語ることも、語らないことも、多々あると思いますが、ひとつ確実なのは、100年前の世界は100年前に凍りついたように存在するのではなく、現代としっかり連続しているということです。
★
先月の初めから続いた、棚の奥への旅は今日で終わりです。
この地球儀の箱を持ち上げると、そこに甲殻類の標本箱がひっそりとあって、そこが旅の終着点。
今回の連載は、記事のカテゴリーがバラバラなので、バックナンバーを下にまとめておきます。
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