空の幻影 ― 2010年08月15日 17時13分22秒
Sonne hinter den Wolken 「雲の背後に隠れる太陽」
カール・ツァイス社が作った20世紀初頭のステレオ写真です。
(…と聞いていますが、1920年代ぐらいまで時代は下るかもしれません。)
地上には旗を掲げた塔。
その向こうに広がる大きな空。
太陽と雲、白い光と黒い影が織りなす一瞬のドラマ。
詩情豊かな作品ですが、ここには、そうした光の綾模様を的確に捉えたカメラの性能を宣伝する狙いがあったのかもしれません。
この写真は、キャプションも含めて全体が1枚の印画紙に焼かれているのですが、モノクロの階調表現もなかなか豊かです。
★
…とは言うものの、この写真、私にはちょっと不気味にも思えます。
雲の形が何かに見えませんか?
私の目には、しゃれこうべを抱き寄せ、そっと唇を寄せる若い女性の横顔が見えます。
(じいっと目を細めて見て下さい。)
★
今日は、深夜0時10分から、NHKの「日本怪談百物語」というのを見るつもりです。
胡瓜と味噌、そして冷酒を用意して、いっとき納涼気分を味わおうと思います。
水鳥の夢、理科室の夢…棚の奥から(7) ― 2010年08月18日 07時10分28秒
棚の奥へと向う旅も長くなり、天文の話からも一寸遠ざかっていますが、この旅もまもなく終りです。
★
今日はふたたび鳥の剥製です。
水鳥の仲間、カイツブリ。別名は鳰(にお)。鳰が群棲した場所が「におのうみ」、すなわち琵琶湖の古名です。
台座の文字を見ると、「カヒツブリ」とあって、戦前の剥製であることを露呈していますが、この鳥の名前は語源がはっきりしないらしく、戦前の図鑑でも「カイツブリ」の表記が普通のようでもあります(例えば、黒田長礼『鳥類原色大図説』、内田清之介『日本鳥類図説』など)。
それはともかく、こうした理科骨董に類する標本の場合、標本そのものと並んで、台座やケース、ラベルなどが重要で、特に昔の大学者が書いた標本ラベルなどは、茶道具における箱書、あるいは利休の書付のように珍重する人もいるらしい。
この剥製は、この前のガラス壜と同じ女学校から出たもので、このラベルも昔の先生が書いたか、剥製業者が書いたかのどちらかでしょうから、まあ、そこまで珍重する必要もありませんが、それでも昔の理科室の暗い空気を感じさせて、なかなか味わいの深い気がします。
つぶらな瞳。
上の2枚はコントラストがきつく、羽毛が硬く感じられますが、実際の質感は下の写真に近く、よりフワッとした感じです。(旅の最終目的地、エビ・カニの住む箱は、このゴチャゴチャとした堆積の奥になります。)
鉱石(イシ)をみながら酒をのむ ― 2010年08月19日 16時51分32秒
…というコピーが光っている、「鉱物Bar」という素敵なイベントを、主催者のフジイキョウコさんにコメント欄で教えていただきました。
■ 鉱物Bar ■
8月18日(水)~8月29日(日)<会期中 月・火曜日休>
15:00~21:00
会場 ギャラリーみずのそら(東京都杉並区西荻北5-25-2)
MAP http://www.mizunosora.com/map.html
イベント公式サイト http://www.mizunosora.com/event60.html
鉱物を愛で、酒をのみ、おいしいものを食べる―。
それだけで、もう他に言葉はいらないわけですが、でもよく考えると、ここには興味深い現象が生起しているように思います。
飲食する、すなわち同化と異化というのは、生物のいちばん基本的な営みであり、そこに生命のない鉱物を配した点が、このイベントが秘めた謎―もしそう言ってよければ―なのかもしれません。
たぶん、このイベントが進行している時、そこには<生物と無生物>、<有機物と無機物>、<生と死>、<mortalとimmortal>、<一瞬と永遠>、<精神と物質>、<欲動とロゴス>など、様々な二項対立が浮かんでは消え、時にヒトは鉱物と対立する存在となり、また時には同じグループを作り、ぐるぐると捻じれながら回り続けている…そんなイメージが浮かびます。
まあ、あんまり考えると悪酔いしそうですが、そんなことをボンヤリ考えながら、グラスを傾けるのも良いですね。
★
さて、「鉱物Bar」の向こうを張って、ここはひとつ「天文Bar」というのを、どなたかに期待したいのですが、でも、「ひとり天文Bar」ならほぼ毎日開いているぞ…と思い直しました。
★
なお、フジイキョウコさんと、その編著『鉱石(イシ)アソビ』については、以前記事に書かせていただきました。
■夢の鉱石雑貨舗へと続く幽かな道
http://mononoke.asablo.jp/blog/2008/10/04/3800464
(上の写真は、鉱物Barとは関係なく、「鉱物居酒屋」風にテキトーに撮りました。)
■ 鉱物Bar ■
8月18日(水)~8月29日(日)<会期中 月・火曜日休>
15:00~21:00
会場 ギャラリーみずのそら(東京都杉並区西荻北5-25-2)
MAP http://www.mizunosora.com/map.html
イベント公式サイト http://www.mizunosora.com/event60.html
鉱物を愛で、酒をのみ、おいしいものを食べる―。
それだけで、もう他に言葉はいらないわけですが、でもよく考えると、ここには興味深い現象が生起しているように思います。
飲食する、すなわち同化と異化というのは、生物のいちばん基本的な営みであり、そこに生命のない鉱物を配した点が、このイベントが秘めた謎―もしそう言ってよければ―なのかもしれません。
たぶん、このイベントが進行している時、そこには<生物と無生物>、<有機物と無機物>、<生と死>、<mortalとimmortal>、<一瞬と永遠>、<精神と物質>、<欲動とロゴス>など、様々な二項対立が浮かんでは消え、時にヒトは鉱物と対立する存在となり、また時には同じグループを作り、ぐるぐると捻じれながら回り続けている…そんなイメージが浮かびます。
まあ、あんまり考えると悪酔いしそうですが、そんなことをボンヤリ考えながら、グラスを傾けるのも良いですね。
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さて、「鉱物Bar」の向こうを張って、ここはひとつ「天文Bar」というのを、どなたかに期待したいのですが、でも、「ひとり天文Bar」ならほぼ毎日開いているぞ…と思い直しました。
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なお、フジイキョウコさんと、その編著『鉱石(イシ)アソビ』については、以前記事に書かせていただきました。
■夢の鉱石雑貨舗へと続く幽かな道
http://mononoke.asablo.jp/blog/2008/10/04/3800464
(上の写真は、鉱物Barとは関係なく、「鉱物居酒屋」風にテキトーに撮りました。)
地球儀を改造せよ(前編)…棚の奥から(8) ― 2010年08月20日 22時16分31秒
地球儀を改造せよ(後編)…棚の奥から(9) ― 2010年08月21日 12時58分22秒
(昨日のつづき)
思わせぶりに記事を2つに割りましたが、別段「ビックリ」はありません。
中から出てきたのは、何の変哲もない、小さな地球儀。高さは約22センチです。
いつ頃のものかな?と思って地図を眺めると、朝鮮半島と台湾が赤くなっています。
そして中国はまだ清の時代。
1910年、日韓併合。1911年、辛亥革命により清が消滅。
この地球儀は、東アジアの政治的枠組みを左右した、2つの大事件にはさまれた、ごく短い期間に作られたものです。満100歳の地球儀がものがたる、100年前の世界。
国境重視の行政型地球儀には、否応なく時代の刻印が押されています。
というか、それを印すことを目的に作られた道具ですね、これは。
この青い惑星の表面に引かれた、人間にしか見えない無数の線、そして奇妙なパッチワーク。
この「改造地球儀」は、「改造/地球儀」ではなく、実は、「改造地球/儀」を意味しているのかもしれないな…と、ふと思いました。この地球儀が生まれた頃から、「地球を改造せよ!」と怒号する列強の声はいよいよ喧しく、彼らの思惑は、惑星の各地で衝突することになります。
思い起こせば、明日8月22日は、日韓併合条約が調印された日。
メディアが語ることも、語らないことも、多々あると思いますが、ひとつ確実なのは、100年前の世界は100年前に凍りついたように存在するのではなく、現代としっかり連続しているということです。
★
先月の初めから続いた、棚の奥への旅は今日で終わりです。
この地球儀の箱を持ち上げると、そこに甲殻類の標本箱がひっそりとあって、そこが旅の終着点。
今回の連載は、記事のカテゴリーがバラバラなので、バックナンバーを下にまとめておきます。
天文Bar? ― 2010年08月22日 07時08分37秒
当地では、毎年、甲子園の準々決勝あたりからツクツクボウシが鳴き出すのですが、今年はまだ全然です。アブラゼミの声も、いつの間にか聞こえなくなり、町は今奇妙に静かです。(今年は全体にセミが少ないようです。)
【付記 …と涼しい顔で書いたら、とたんに油蝉がジャジャジャと鳴き出し、なーんだと思いました。】
★
さて、この前<鉱物Bar>ならぬ<天文Bar>はないかなぁ…ということを書きましたが、「でも、ひょっとしたら、もうあるのかもしれないぞ」と思いついて、検索してみました。
するとトップに表示されたのが、六本木にあるダイニング・バー、「天体観測 Diner アフィリア・スターズ」。ん?これは何だろう…と思って、サイト(特にリンクは張りませんので、関心のある方は検索してください)を見に行ったら、店のコンセプトは以下の如し。
□ ◆
当店は「魔法学院」という一つのキーワードに合わせ、
コスプレはもちろん店舗内装に至るまでトータルにこだわった
「テーマカフェ」と呼ばれる新しいスタイルのお店です。
公開中のキャスト(ウェイトレス)用コスプレ衣装も
ゴスロリ+魔法遣い+女子高生+セクシーをミックスした
完全オリジナルデザインです。
〔…〕美少女ゲーム音楽の世界で非常に高い評価を受けている
音楽制作会社が造る、萌えコスプレカフェテリアとは!?
どうぞお楽しみに。
◆ □
うむむむ…
より正確に言うと、上の説明は、東京・名古屋・大阪に5店舗展開している「アフィリアグループ」の共通テーマであり、六本木の店は、アフィリア王国の王立天体観測所にして、アフィリア魔法学院が運営する施設、という設定らしいです。
「当観測施設は4つの天体拡大鏡からなり、その中でも施設中央にそびえ立つ「猫ノ目からヒントを得て開発された」と言われる超大型の天体拡大鏡『グレゴリアス』の存在感は圧巻です!」…とのこと。
グレゴリアスの何たるかはハッキリしませんが、でも、ちょっと勝手が違いました。
どうやら、私が思うような天文Barは、まだないらしいことを認識。
当分は「ひとり天文Bar」の片隅で、賢治や足穂、あるいはフープ博士やクシー君と一緒に(彼らは来店しても空間を要さない至極便利な客です)彗星カクテルをチビチビ舐めながら、土星の噂や、銀河鉄道に支線ができた話などをして、宵を過ごそうと思います。
【付記 …と涼しい顔で書いたら、とたんに油蝉がジャジャジャと鳴き出し、なーんだと思いました。】
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さて、この前<鉱物Bar>ならぬ<天文Bar>はないかなぁ…ということを書きましたが、「でも、ひょっとしたら、もうあるのかもしれないぞ」と思いついて、検索してみました。
するとトップに表示されたのが、六本木にあるダイニング・バー、「天体観測 Diner アフィリア・スターズ」。ん?これは何だろう…と思って、サイト(特にリンクは張りませんので、関心のある方は検索してください)を見に行ったら、店のコンセプトは以下の如し。
□ ◆
当店は「魔法学院」という一つのキーワードに合わせ、
コスプレはもちろん店舗内装に至るまでトータルにこだわった
「テーマカフェ」と呼ばれる新しいスタイルのお店です。
公開中のキャスト(ウェイトレス)用コスプレ衣装も
ゴスロリ+魔法遣い+女子高生+セクシーをミックスした
完全オリジナルデザインです。
〔…〕美少女ゲーム音楽の世界で非常に高い評価を受けている
音楽制作会社が造る、萌えコスプレカフェテリアとは!?
どうぞお楽しみに。
◆ □
うむむむ…
より正確に言うと、上の説明は、東京・名古屋・大阪に5店舗展開している「アフィリアグループ」の共通テーマであり、六本木の店は、アフィリア王国の王立天体観測所にして、アフィリア魔法学院が運営する施設、という設定らしいです。
「当観測施設は4つの天体拡大鏡からなり、その中でも施設中央にそびえ立つ「猫ノ目からヒントを得て開発された」と言われる超大型の天体拡大鏡『グレゴリアス』の存在感は圧巻です!」…とのこと。
グレゴリアスの何たるかはハッキリしませんが、でも、ちょっと勝手が違いました。
どうやら、私が思うような天文Barは、まだないらしいことを認識。
当分は「ひとり天文Bar」の片隅で、賢治や足穂、あるいはフープ博士やクシー君と一緒に(彼らは来店しても空間を要さない至極便利な客です)彗星カクテルをチビチビ舐めながら、土星の噂や、銀河鉄道に支線ができた話などをして、宵を過ごそうと思います。
妄想酒舗、ウラニア ― 2010年08月23日 23時16分11秒
「天文バー」のイメージをうまく表すものがないかな?と、本棚をゴソゴソしたのですが、なかなかありそうでないですね。
まあ、足穂とその影響を受けたアーティストの作品には、酒場のシーンがしばしば出てきますけれど、いつも“足穂だのみ”というのも気が引けるので、今回は別の方向から探してみたいと思います。
そんな中、ちょっと変わった建物をウィーンに発見しました。
てっぺんに天文ドームを乗せ、側面は船形の優美な曲面を描く不思議なビル。
その名を「ウラニア」といいます。(↓は1930年頃?の絵葉書)
全体は天文バーというよりは、天文キャバレー(日本のそれではなく、ナイトクラブや歌舞演劇場の類)といった風情ですが、どうでしょう、このビルのどこかにひっそりと天文バーがありそうな気がしませんか? 現実の星見派はドーム下に陣取って、また想念の宇宙派は地階の奥に籠って、それぞれウラニア神に向って酒杯をあげている…のだとしたら、素敵ではありませんか。
★
さて、妄想はこれぐらいにして、天体観測にはおよそ不向きなウィーンの繁華街に立つ、この建物の正体は何でしょうか。
現実の「ウラニア」は、天文バーでも天文キャバレーでもなくて、残念ながら(?)天文をテーマにした真面目な教育施設です。以下、英語版Wikipediaから適当訳(http://en.wikipedia.org/wiki/Urania_(Vienna) )。
「ウラニアは、ウィーンにある公共教育施設ならびに天文台である。
同館は、アール・ヌーヴォーの建築家、マックス・ファビアーニ(=オットー・ワーグナーの弟子)の設計に基づきウィーン川の河口に建てられ、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世により、公共天文台を備えた教育センターとして1910年にオープンした。その名称は天文学を象徴する女神ウラニアに由来する。
第2次大戦中に、ウラニアは大きな損傷を受け、ドームは天文台もろとも完全に破壊されてしまったが、その後修復を経て、1957年に再開された。天文台部分については、これまで長年にわたって設備面の改良が続けられている。
現在、ウラニアの内部には、さまざまな教室や講演会が開かれるセミナー・ルームや、毎年恒例のウィーン映画祭が上映される映画館、さらにハンス・クラウスが始めた人形劇場などがある。」
★
よく読んだら、「酒場がない」とはハッキリ書いてないので(むむむ)、一縷の望みを託すことにしましょう。(そこまでこだわることもないですが。)
妄想ではなかった酒舗ウラニア ― 2010年08月24日 19時50分57秒
昨日の絵葉書の位置から、ウラニア・ビルヂングの裏手に回ると、こんな感じです。
昨日の画像だと、戦艦のブリッジみたいに、屋上の真中からドームが突き出ているように見えますが、実際には建物隅の塔上に乗っています。それ以外にも、2枚を見比べると、正面や屋上の様子が微妙に違うようです。
絵葉書としては、今日のものの方が古くて、おそらく1910年代の撮影。その後、ちょっとした改変があったのでしょう。
★
ところで、昨日のウィキペディアのページからは、教育会館としてのウラニアと、そこに併設されているウラニア天文台のサイトに、それぞれリンクが張られています。リンク先はドイツ語ですが、例によってグーグル翻訳のお世話になって読んでみたら、ウラニアにはしっかりバーがありました。 やった!天文バー。
(↑Wiener Urania のサイトより)
営業時間は、月~土曜日は午前9時から深夜2時。日曜日でも深夜0時までやっているそうですから、コツコツ夜の街を徘徊してからでも、フラッと立ち寄れますね。
「豊富なメニュー、コスモポリタンな雰囲気、クールな音楽、そしてダヌベ運河の眺め。お手頃な価格で上質な時間を楽しみたい方は、ぜひウラニア・カフェ‐バー‐レストランにお越しください。店主ヴォルフガング・ライクルは、自分の店を何よりもお客様がくつろげる、居間のような場所だと考えています。」
そして、天文台の方も、パーティーやイベント会場に貸し出しているのだとか。
「ご家族や、友人、あるいはお仕事の関係で、何かユニークな企画をお探しですか? 美しい眺め、最高級の機材、洗練された雰囲気、そして魅惑的なプログラムの数々―すなわち、“天空のイベント”を皆さんお望みでは?」
というわけで、星を見ながら、アルコールOKのイベントも開催できるという、ちょっと羨ましい話。
(Urania at Night... Wikipediaより)
骨の手前に目をやれば ― 2010年08月26日 21時53分56秒
ついでですから、ウィーン観光よろしく別の場所も見ておきます。
上はウィーン自然史博物館の古絵葉書(1900年前後)。
鯨や海獣類の骨の迫力もさることながら、客よけの柵の装飾的なデザインがすごいですね。骨格の陳列台の不必要な段々と併せて、当時の造形感覚がよく分かります。
同博物館の公開は1889年だそうですから、まさに世紀末ウィーンの真っ只中。
この柵にもクリムトと同じ時代の空気が通っているようです。
こうして骨と柵を並べて見ると、自然のデザインと人工のデザインの対照が面白く感じられますが、しかし、この人工のデザインは自然の植物に範を取ったものであり、そしてヒト自身、自然がデザインした「作品」でもあるので、なんだか考えるとややこしい話です。
上はウィーン自然史博物館の古絵葉書(1900年前後)。
鯨や海獣類の骨の迫力もさることながら、客よけの柵の装飾的なデザインがすごいですね。骨格の陳列台の不必要な段々と併せて、当時の造形感覚がよく分かります。
同博物館の公開は1889年だそうですから、まさに世紀末ウィーンの真っ只中。
この柵にもクリムトと同じ時代の空気が通っているようです。
こうして骨と柵を並べて見ると、自然のデザインと人工のデザインの対照が面白く感じられますが、しかし、この人工のデザインは自然の植物に範を取ったものであり、そしてヒト自身、自然がデザインした「作品」でもあるので、なんだか考えるとややこしい話です。
自然史博物館の夕べ ― 2010年08月27日 19時51分57秒
(今日の写真は、いずれも Wikipedia からの安易な流用です。)
また余談に流れますが、例によって記事の参考にと思って、ウィーン自然史博物館のサイト(http://www.nhm-wien.ac.at/Content.Node/museum/index1.html)を見ていたら、ここでもイベント向けに会場貸しをしているのを知りました。最近はこういうのをあちこちでやっているんですね。
「当館の恐竜ホールで味わう、ユニークな夕べのひとときは、他にはない雰囲気。アロサウルスとディプロドクスの堂々たる骨格の間で召し上がる豪華ディナー(70名様まで対応可)は、これぞまさに博物館ならではの特別企画。この夕べのひとときを、お客様がたは一生忘れることはないでしょう。」
夜の恐竜ホールでパーティーなんて考えただけでも素敵です。灯りに照らされて、ゆらゆらと踊る白亜紀の竜たち。それを眺めながら、カチンと冷たいグラスを合わせて、グイとひと干し。
★
市民と博物館の距離が近いのは確かに良いことです。ただ、博物館側の本音はやはり収益アップかなあ…とも思います。本当は、そんな風に博物館が収入を上げるのに血眼にならずに済むのが良い世の中なのかもしれませんが。
★
また、同館では、キッズ向けのお誕生祝いツアーも実施しています。学芸員の引率で館内を探検したり、いろいろな体験プログラムを楽しんだりした後は、博物館の中央にある、カフェ・ノーチラスでお祝いの食事を…という趣向。
これも何だかうらやましい。
何億年と言う生物の歴史を間近に見ながら、自分がこの世に生を受けたことを祝福してもらうなんて、心に響く体験でしょうね。「そう、君もこの歴史の確かな1ページなんだよ」と、語って聞かせてもらえる子どもは幸せです。
このカフェについては、ウィーン在住のThirdさんが写真入りで紹介しています。家具や什器の選択には一考の余地ありと見ましたが(ややにわか仕立て感あり)、何といっても博物館の大ドームの真下というロケーションが素晴らしいですね。しかし最後の1行が何とも…。子どもたちの運命やいかに。
★
今日、職場の窓から赤とんぼの群れがスイスイ飛んでいるのが見えました。
来週からはいよいよ9月。
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