過去にまどろむ博物館2010年09月13日 23時20分44秒

多くの場合、博物館は古い物を展示する施設ですが、その博物館自体が歴史的建造物だと、古さの2乗でいっそう味わいが深いです。空間全体が存分にかもされている感じです。

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さて、今日の絵葉書は、パリの自然史博物館。
ウィキペディアによれば、起源は1635年に創設された王立薬草園で、1793年に正式に博物館として発足したそうですから、ロンドンの自然史博物館(1753年設立)と並ぶ、ヨーロッパでも老舗中の老舗です。

同博物館は、いろいろな組織の変遷を経て、現在は複数の展示施設から成りますが、写真に写っているのは、1898年にできた<古生物館>。絵葉書自体は、1910年代のものでしょう。それから100年経った、現在の様子は以下。

■骨づくし!パリの自然史博物館
http://woman.excite.co.jp/odekake/sanpo/sid_561896/

昔も今も、部屋の主役は巨大なディプロドクスで、これだけでもう博物館濃度は最高値に達しています。

ただし、その周辺の様子はだいぶ変わって、現在はスッキリとプレーンな空間です。
対照的に、100年前には一種の空間恐怖を思わせる、高密度な展示が行われています。これがまさに時代の感性なのでしょう。いささか神経症的であり、かつ強迫的です。

内装もすごいですね。
この鉄とガラスを多用した建築には、エッフェル塔(1889年完成)とも共通する、世紀末パリの匂いが強く感じられます。

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それにしても、この絵葉書の世界に入り込んで、コツコツ歩き回ったら、どんな感じがするでしょうね。(でも、じーっと見ていると、本当に自分が歩き回っているような、妙な気が一瞬します。)