骨の館2010年09月21日 20時47分54秒

今日の絵葉書は、1846年に創設されたベルギー王立自然史博物館。
写っているのは「ベルギー産脊椎動物陳列室」の内部で、1910年代の光景です。

ダンディな髭の男性陣(何者?)の傍で一際目立つのは、1860年にベルギー北部の町・リールで発見されたマンモスの骨。
ウィーン、パリに続き、ここも見事に骨・ほね・ホネの部屋です。

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それにしても、博物館にはなぜ骨があるのでしょう?

いちばん単純に考えると、拾った骨を並べたところに博物館ができたからじゃないでしょうか。ヴンダーカンマー趣味が盛んだったとき、いちばん手頃な、つまり保存が簡単で、見栄えのする「自然の驚異」が<骨>で、ヴンダーカンマーが博物館に衣替えした後も、そういう実際的な理由から、骨は愛好されたのかも。迫力があって、見栄えがする―これが初期の博物館では重要だったように思います(ひょっとしたら今も)。

もちろん、骨を見ればいろいろなことが分かります。分類学の基礎であるのはもちろん、骨から、その動物の生活環境や暮らしぶりまで分かります。

でも、それは骨を中心に古生物学が発達してきたことの帰結であり、それも結局、「骨は生体の中でいちばん残りやすい」という事実に由来するのでしょう。もし動物の身体の中で、内臓がいちばん残りやすかったら、博物館には内臓が並んでいたかもしれません。