ガリレオの住む世界をノックする(前編)…古い物を買うということ2010年11月15日 21時27分59秒

このサイトでは、「あれを買った、これを買った」的なオメデタイ記事が多いのですが、モノそのもの魅力とは別に、そうした収集過程自体にも、一種の妙味があることは、多くのモノ好きの方が感じていらっしゃるのではないでしょうか。

「天文古玩」を「天文骨董」と言い換えると、何だか金満的な匂いがしてきます。実際、天文古玩的アイテムは、いったんのめりこむと、青天井の世界です。しかし、ごく限られた予算でも、古い天文学の佳趣に触れる楽しみが味わえないわけでもない。そのためには、いろいろ想像力を働かせたり、「見立て」の要素を取り入れたりする必要が出てきますが、そこに一種の遊戯感覚が生まれ、それが上で言うところの「妙味」に当たるわけです。これは、資力の限界という枠があるからこそ楽しめるので、言ってみれば持たざる者の特権かもしれません。(ちょっとやせ我慢ぽいですね。でも何ごとも高楊枝です。)

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そうした遊戯の一端として、例えばガリレオ。
昨年は、ガリレオが望遠鏡で初めて天体観測をしてからちょうど400年の<世界天文年>でしたが、その当時の天文世界に直接触れることはできないだろうか?つまり、モノを通してガリレオの生きた時代をしのぶ…という課題について考えてみます。

普通に考えると、これはなかなか難しい。

ガリレオの『星界の報告』の初版(1610)は、先年のクリスティーズ(ニューヨーク)のオークションで、29万ドルの高値で落札されました。今、古書検索サイトを見たら、第2版(同じく1610年)には、7万5千ドルの値が付いています。また、イギリス国内で最初に印刷された「イギリス版初版」と称するエディション(1653)ならば、1万9千ドルです。初版よりもグッと値は下がりますが、「だから安い」とも言いかねます。やっぱり高いです。


あるいは、当時の天球儀。クリスティーズ(ロンドン)のオークションカタログを開くと、1627年にアムステルダムで作られた天球儀には、3~4万ポンドの評価額が付いています。うーむ…。


こうなると、もうどうにもなりません。
まあ、『星界の報告』の初版のファクシミリ版なら30ドルで買えるし、天球儀にしてもリーズナブルなレプリカがあるので、それで雰囲気だけ味わうというのも手です。

ただ、モノにこだわる立場からすると、何となく疎隔感があるわけですね。17世紀という時代が、ガラス戸のはるか向こうにあるような感覚といいますか、やっぱり満足できない部分が残ります。

―というようなことを考えながら、ふとひらめいたのは…

(もったいぶって次回に続く)