リチャード・プロクター著 『恒星アトラス』(2)2010年12月01日 20時33分18秒

この立派な星図の「秘密」。
それは、星図がザックリと割れてしまっていることです。


そう、無残にもザックリと。


以前の本の所有者(少なくとも私以前に2人います)も、裏側から紙を貼ったりして、必死に防戦した形跡がありますが、本の崩壊を食い止めるには至りませんでした。


これは、製本にも問題があったのです。本来、見開きフルオープンで使うはずの本の背を、完全に糊で固めた「タイトバック」方式で仕上げたために、本の「のど」に無理がかかって、本自体が負荷に耐えられなくなってしまったのでした。

そしてもう1つの、そして私の心をいっそう暗くする「秘密」。
それは、紙の劣化です。本の「のど」が、これほど見事に両断されているのは、紙の柔軟性自体が失われているからで、今ではちょっと指が引っかかっただけで、紙の端がペリリと容易に裂けてしまいます。これからさらに劣化が進むと、触っただけで紙がフレーク状に崩壊するようになるはず。


この紙の劣化の問題。当然、プロクターのこの本に限定されないのが悩ましい点です。そして今、世界中の図書館がこの問題に戦々恐々としています。
星図の話題からとびますが、そのことを少しメモ書きしておきます。

(項を改めてつづく)