天上大風 ― 2010年12月12日 20時12分44秒
そよとも風の吹かぬ部屋を見下ろす遥かな空の高み。
そこには大いなる大気の流れがあります。地球が生きていることの何よりの証しです。
そこには大いなる大気の流れがあります。地球が生きていることの何よりの証しです。
ここに1冊の本があります。
これこそ19世紀の後半、「地球の息吹」を明らかにしようとした本です。
■H.H.ヒルデブランドソン(著)、『大気の上層運動図集』
Hildebrandsson, Hugo Hildebrand,
ATLAS DES MOVEMENTS SUPÉRIEURS DE L’ATMOSPHÈRE.
Beckman, Stockholm, 1877.
本文20p. + 図版53葉、高さ28cm..
著者のヒルデブランドソン(1838-1925)は、スウェーデンの気象学の大家で、気象観測の基礎となる『国際雲級図』(一種の雲の分類図鑑)を編纂したことで知られる雲博士です。ウプサラ大学の初代気象学教授もつとめました。
(↑1877年はウプサラ大学創立400周年に当たり、本書はそれに捧げられています。)
何故こういう渋めの本を買ったかと云えば、以前書いた記事(↓)の中にヒルデブランドソンの『雲級図』のことが出てきて、その現物をぜひ見たいと思ったからでした。結果的にそれは見つからなかったのですが、ヒルデブランドソンの著書として、この本が売りに出ていたのを見つけ、「雲博士」を身近に感じるために取り寄せてみたわけです。
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さて、気象衛星も飛行機もない時代、高層大気の動きを、ヒルデブランドソンはどうやって調べたのでしょうか?言われてみれば「なーんだ」ですが、それは高空に特有の雲の動きを観察すれば分かるのです。
彼が注目したのは空のてっぺん、対流圏の上部に発生する巻雲(けんうん)です。いわゆる「すじ雲」。氷晶でできているため純白で、そのため絹雲(けんうん)の称もありますが、輪郭のくっきりした、いかにも爽やかな雲です。
(この項つづく)
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